いよいよ本日開幕のパリ五輪、男子バレーボール予選。初日から日本が戦うのは、世界ランキング7位のブラジルと11位のドイツです。東京オリンピックでも白熱した試合で会場を沸かせた、日本代表チームによる本戦にますます胸が高鳴ります。今回のオリンピックでは、東京オリンピックでの悲願である金メダル獲得を目指す日本。そんな最強メンバーのアウトサイドヒッターの一角を担うのは、大注目の髙橋藍選手。世界ランキング1位のポーランドとの強化試合では、猛烈なスパイクと抜群のレシーブ力で大活躍し勝利に導きました。STORYでは24年4月号で、髙橋選手の母・小百合さんから幼いころのエピソードを伺いました。高校3年生という若さで日本代表選手果たした息子さんをもつ、お母さんが語れる子育て秘話とは。
「どうやったらバレーボールをやめられるん?」と言われた時期もありました
バレーボール男子日本代表 髙橋 藍選手(22歳)
2001年京都府生まれ。高校卒業後日本代表に初選出。現在、イタリアセリエAのモンツァで活躍中。
<母>髙橋小百合さん(49歳)主婦
父がアメリカ人、母が日本人のハーフ。中高時代は軟式テニス部。高校時代は近畿大会出場経験あり。
――パリオリンピック出場権獲得の試合では大活躍でした。藍さんは小さい頃からバレーボールに興味があった?
「いえ、全くありませんでした。むしろ、したくなかったぐらい(笑)。夫は高校球児だったので、夫婦2人ともにバレーボールを知りませんでした。兄の塁が近所のチームに加入して、藍もそこに連れて行っていましたが最初は見ていただけ。ところが、ある日、監督が藍に『メンバー足らんから来て。ポケモンカードあげるから』。それが始めたきっかけです(笑)。
もともと藍は何でもそつなくこなすタイプだったのですが、始めた頃は、ボールを1球打つごとに『いつまでやるん?』と言っていて、全くやる気がなかった。そして、塁が中学に入学してチームを抜けた時に『やめたい。なんで俺が行かなあかんの? どうやったらやめさせてくれるん? 土日も友達とゲームして遊びたい!』と、泣いて訴えてきたことがあります」。
――それでもやめさせなかったのは?
「もしやめたら、たぶん家でゲームばかりするようになる…と思い、その時は『ああ、わかった、わかった…』と曖昧に返していたことが良かったんでしょうか(笑)。その後ほどなくして、小学校の卒業文集には『プロになる!』と書き、さらに『中学でお兄ちゃんと一緒のバレー部に入る』と言い出して。驚きましたね。やはり、私より兄の存在が大きかったのかもしれません。藍は『今がいちばん楽しい』と言ってくれて嬉しい。あの時、やめさせないで良かったと本当に思います」。
取材/東 理恵 ※情報は2024年4月号掲載時のものです。