子ども達は夏期講習真っ只中のうえ、猛暑の日も続く夏休み。 そこで、お馴染み脳科学者・成田先生にウチナカで涼しく短時間で脳が育つ“遊び”を教えてもらいました!
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「遊び」は机に向かっているよりも脳が育つ
成田奈緒子先生
Naoko Narita
神戸大学医学部卒業。医学博士、文教大学教育学部特別支援教育専修教授。「子育て科学アクシス」代表。近著に『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』など。
◇ 勉強に匹敵する大事な訓練
夏休みは、受験準備の天王山で夏期講習など勉強に追われるお子さんも多いかと思いますが、実は思春期の脳の発達に“遊び”はとても大切。だから、数時間でも“遊び”の時間を持つよう心掛けてみてください。家の中で時間をかけずに遊べることはたくさんありますし、実はそういった遊びで前頭葉も鍛えられます。
例えば、しりとりも言葉を口にすることで語彙が脳に定着していくので、知識と情報を増やすために役立ちます。また、神経衰弱のようなゲームであれば「記憶力」(短期記憶)、速さを競うゲームであれば「脳の瞬発力」(目と手の協応)、他にも「発想力」(創造性)や「空間認知力」が鍛えられるものもあります。オセロや将棋のようなロジックで考えていくゲームだと、短時間でも集中力がつくなどして脳を鍛えられます。このコマをこっちに動かすと次にどうなるかと想像することが、数学の問題を解く時の論理思考に役立つんですね。
最初は上手くできない子も、繰り返すうちに論理的に考える「癖」がつくということはありますし、ゲームであればなおさら勝ちたいという欲求によって強められていきます。ですから、“遊び”は机に向かっているよりも断然、脳が育ちますし、勉強に匹敵する本当に大事な訓練だと思います。
もちろん、そういったゲームはリラクゼーションとしての楽しさもありますし、思春期で親子の会話が少なくなっている場合にはコミュニケーションツールとしてもいいですね。親子で遊ぶと対等な立場で戦えて、案外、親の方が負けてしまうなんてことも。「この間の模試はさんざんだったけれど、ゲームでは瞬発力もあるし、発想力もすごい!」と我が子の能力に驚いたりします。偏差値だけで子どもを見ている親の視点も、きっと変わるでしょう。
学校が始まると忙しく時間に追われることも多くなるので、夏休みの時間を利用して親子で遊んでみてください。大人も、楽しいですよ!
撮影/吉澤健太 取材/奥村千草、香取紗英子 ※情報は2024年8月号掲載時のものです。