結婚後に判明した「乳がん」という病気。モデルの仕事は？これからの人生は？手術の選択や乳房再建手術の選択など、心が追いつかないまま流れていく月日……。がんの発見から手術までは僅か２週間という短さのなかで揺れ動いた当時のことについてをお聞きしました。

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ーー乳がんが見つかったのは3年前ですね。

はい、2021年の1月のことでした。自覚症状はなかったのですが、以前から乳腺症と言われていたので毎年マンモグラフィーとエコーの検査をしていましたが、問題ないレベルだったんです。乳腺症は、女性ホルモンの影響で起こりやすく、私の場合は検査した結果、悪性ではないが毎年の検査は必ずしてくださいと言われていたもののそこまで思い悩んではいませんでした。それが突然、「ステージゼロだけど乳房全摘です」と言われてしまって……。もう訳が分からないですよね。先生の言葉もどこか他人事にしか聞こえないし、現実として実感できないし、ちんぷんかんな専門用語で頭がいっぱいになりました。

ーーステージゼロでも全摘なんですか？

ゼロというのは非浸潤ひしんじゅんがんのことで、乳腺の中にがん細胞が留まっているからゼロ。このまま浸潤しないで周りの組織に広がらずにずっと乳腺の中にいる可能性もあるけれど、先生としてはがんを見つけてしまったし、年齢や現状から他の組織に転移してしまう前に切除しましょうという話なんです。しかも私の場合はしこりじゃなくて乳腺に全体的にもやがかかったように広がっていたため、がんの境界線が不確かで、部分切除は無理なので乳房全摘しかないということでした。だから「ステージゼロだけど、全摘よ」と。

ーー乳がんと言われただけでもショックなのに、しかも全摘と言われたら受け入れるには時間がかかりますね。

そうですよね。なのに２週間後に手術空いてるよと言われて心が追いつかなくて。乳房再建の場合はその病院ではできないので、希望するなら大学病院を紹介してくれるという話なのですが、ステージゼロで緊急性はないから予約が半年先になるらしく、一からまた検査になりますって言われたんです。２週間後の手術も嫌だし、半年先の予約まで待つ時間も嫌だし、乳房全摘も嫌だし、もう全部、嫌だーーー！！！って感じでした（笑）。とりあえず２週間後に手術の予約して、説明するから家族を連れておいでと言われて訳も分からず帰宅しました。

ーーご家族の反応はどうでしたか？

家族もびっくりですよね。みんな「ステージゼロなのに全摘なの？」と納得していない感じでした。私は先生の話を上手く飲み込めなかったので詳しい説明ができなくて、３日後くらいに両親や夫を連れてまた病院へ行きました。そこで先生が全て説明してくれて、母や夫が先生とやり取りしていた感じです。私は質問したいことをしっかりメモして病院に行きました。

ーー手術までの２週間はどんな風に過ごしたんですか？

全摘なので、私は放射線治療と抗がん剤治療がなかったので普通に過ごせました。いろいろな選択肢があるなかでいちばんベストな治療が全摘だと言われ、受け入れたくないけど仕方ないのかなと。諦めきれずにいろいろな知り合いにも聞いたし、検索もめちゃくちゃしました。でもステージゼロで全摘という場合もあるんだなくらいしか情報がなく、時間だけが過ぎていった感じですね。入院の準備して、前日は美味しいものを食べて、飲んで、手術日を迎えました。

後編へ続きます。