出演された映画『ルノワール』(6月20日公開)がカンヌ国際映画祭に出品され、「まさかカンヌに行く機会に恵まれるとは思ってもみなかった」と語る石田ひかりさん。50代になって歳を重ねるのが面白いと感じているそうです。そんな石田さんに、これからの人生についてお話をお聞きしました。(2記事目/全2記事)
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完璧をもとめなくてもいい、鈍感だと楽ですよ
STORY編集部(以下同)ーー映画『ルノワール』では、子ども大人問わず人間の不完全さや残酷さがリアルに描かれています。私たちからは完璧な女性にみえる石田ひかりさんですが、ご自身に不完全さを感じることはありますか
私もまだまだ不完全ですよ(笑)。人生の最期を向かえた時でさえ不完全だと思いますよ。不完全で悩んでいる方は頑張り屋さんが多いんだと思います。私みたいに鈍感だと楽ですよ。不完全が当たり前で、完全な人なんていないと思ったほうがいい!
例えば、”キレイでいたい”とそれに向かって努力することはとても良い事だと思いますが、私も子どもが小さいときは育児と仕事の両立がすごく大変で、顔も洗わず寝るなんてこともありました。私は真面目なところもあって、特に食に関して責任を感じやすいので、毎食毎食完璧にしなくてはいけないと思っていた時期がありました。自分で自分を追い込んでしまっていたのですが、これをずっとやっていくのは無理だなとある時に気がついて諦めたんです。
食事もお弁当も3日間のトータルでバランスが取れればいいかなと考えられるようになりました。今はウーバーイーツやコンビニなど便利なものがいくらでもあるので、最大限活用して、ママ達はもっと人生を楽しんでほしいと思います。
完璧な母親、完璧な妻、完璧な女性——そんなものにはなれないし、なろうとしなくていいんですよ。完璧なんてつまらないしね!

50代は自由な時間が戻ってきてワクワクしています
ーー50代になってYouTubeを始められましたが、ほかにも挑戦したいことはありますか
老いるということに抵抗感がある方も多いと思いますが、私は歳を重ねるのがすごく面白いと思っています。
私の人生はすごく不思議な巡り合わせで。人生100年あるとすれば、50歳になった時に娘たちが巣立ちまして、これから残り50年の人生がある! とすごくワクワクしたのを覚えています。娘たちが巣立って、自分の時間が久しぶりに戻ってきたと。
自分のために使える時間に何をしようって考えた時に、YouTubeチャンネルや山歩きを始めました。子どもが巣立った後は夫婦の時間もまた増えるので、共通の趣味があるといいですよね。もともと夫も同業なので、映画はほとんど一緒に観にいっています。山歩きも誘ったら一緒に行ってくれますよ。
あとは語学をもっと勉強したいと思っています。『ルノワール』は海外のスタッフも数名いたのですが、日本のスタッフは語学ができる人が多くて、普通に会話をしている姿を見て、私は疎外感を感じてしまいました。なんだかおしゃれなジョークで笑っているのに私はわからなくて。やはりコミュニケーションをとるためには語学は必須だと痛感しました。
今後は日本の映画を海外で観ていただく機会ももっと増えると思いますし、今回カンヌにも行く機会に恵まれて、ますます語学の勉強をしなければと思っています。

自分の心の声をきいて、自分を大切に
ーー40代の多いSTORY読者にメッセージをお願いします
40代は体も心も変化していく時なので、すごく大変な時期だと思います。でも、大変な時期だからこそ自分の中にいろんな種を蒔いて欲しいと思います。いつ、どんな形で芽が出るか、どんな花を咲かせるのかは自分自身でしかないので、たくさん自分の心の声をきいて自分を大切に、自分と仲良くしてほしいなと思います。
私も「これって、いつ役に立つのかな」と思いながらやっていることもたくさんありますが、たくさん栄養を与えて、いつかなんらかの形で花が咲くことを楽しみにしています。
衣装協力:ジャケット ¥39,600Tシャツ¥26,400 (アダワス/ショールーム セッション) デニムパンツ ¥28,600 (サージ/ショールーム セッション )ネックレス ¥297,000 ピアス ¥110,000 リング ¥462,000 バングル ¥297,000 (トーカティブ/トーカティブ 表参道 ) 靴 (スタイリスト私物 )
問い合わせ先
ショールーム セッション 03-5464-9975
トーカティブ 表参道 03-6416-0559
撮影/古水良(cheek one) ヘアメイク/山谷友里恵 スタイリスト/藤井亨子 取材・文/山﨑智子

石田ひかりさん出演。6月20日公開、カンヌ国際映画祭に出品された話題作。
【あらすじ】日本がバブル経済絶頂期にあった、1980年代のある夏。11歳のフキは、両親と3人で郊外に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままな夏休みを過ごしていた。ときどき垣間見る大人の世界は複雑な事情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的。だが、闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれ、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。
■映画『ルノワール』公式サイト https://happinet-phantom.com/renoir/