今回の映画『メモリィズ』で柄本さんが演じたのは、九州で写真館を営む義父が骨折し、
仕事で身動きがとれない妻に代わり、義父の身の回りの世話をするために単身で田舎町に向かい
義父と二人で過ごす夫の役。
榎柄本さん演じる雄太の目を通して見る広大な風景や、雄太のシャッターによって
切り取られる何気ない日常、義父のアルバムに残る家族との時間……、
それがとても愛おしく思えてくる映画だ。
実は、柄本さん自身、大の写真好き。
そこで、趣味に納まることのない、写真愛のあれこれを、大いに語っていただきました。
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学生時代からマニュアルカメラを手にして、 写真家の森山大道さんや荒木経惟さんの本を読み漁っていた
僕は、写真が好きで、普段からかなりスマホやカメラで写真を撮るほうだと思います。
実は、学生時代に空間映像科に属していたこともあって
学校でカメラを習っていたこともあるんです。
当時は、フィルム写真オンリーで、現像も自分でしていました。
ピント設定から露出までフルマニュアルのFM2というカメラを手に入れて、
写真家の森山大道さんや荒木経惟さんの本を読み漁っては、
何だか写真を知ったような気になっていました。
カメラを始めたての頃は、ちょうど海外に行く機会も多かったので、
カンボジアやミャンマーと、目に入る新鮮な景色にたくさん写真を撮っていましたね。
憧れの人に撮り下ろしてもらった、唯一無二の初のフォトブック
2年前、構想から3年の時間をかけて初のフォトブックを出したのですが、
僕の憧れであり、日本写真界の二大巨匠、森山大道さんと荒木経惟さんに
写真を撮っていただけるよう、編集者の方に直談判しました。
荒木さんは、連載をされる写真ページのゲストとして一度呼んでいただいたことがあったのですが、
森山大道さんは全くの初対面。
もう、ものすごく緊張しましたね。
大好きなお二人に撮っていただいて、何だかミーハーになっちゃいますし、
いつ見返しても、やっぱり嬉しいんです。
森山さんは、新宿の街での自然体のモノクロのストリートスナップ、
荒木さんは、内面を映し出すような官能的でパーソナルなポートレート、
撮られている現場から対照的だと思っていましたが、上がった写真も両極端で。
でも、写真は全く違うのに、写真に対する思いや熱い気持ちと、伝わってくるものは一緒だな、と思ったんです。
全く違う二つの個性と、通じる一つのもの、その両方を感じることが出来て、
すごく楽しい体験でした。
携帯で撮った写真を見返す気がおきないワケ
最近、また「フィルム写真をやろうかな」、そう思って撮り溜めているんです。
ところが、現像に必要な真っ暗な部屋も用意しなくちゃならないし、
現像に出すにしても、最近は現像プリント代が高くて、その上時間もかかります。
昔は、カラープリントなんてすぐに現像してくれたけれど、今はそうはいかない。
フィルムの種類によっては、「工場に出すから2週間かかります」なんて言われることもあります。
それで、プリントも現像もしてないフィルムがたくさん溜まってしまっています。
学生時代に呼んだ森山大道さんの本に、「写真を撮る行為だけして現像してはいけない。
プリントをすると終わってしまう」といったことが書いてあって、当時の僕はその言葉に倣い
たくさんフィルムを溜め込んでいたけれど、今は大道さんの教えとは違う理由でプリントできていません。
だけど、やっぱりフィルム写真って、それでしか味わうことのできない面白さがあって。
現像されたものを見る時の、ちょっとワクワクした気持ちが格別なんです。
僕は、撮った写真を見返すのも好きなのですが、携帯で撮ったものは
なぜか見返す気が起こりません。
きっと、撮ったそばから、「ああ、いいね」と写真を確認出来ちゃうからだと思います。
フィルムの場合は、現像するまでピントが合ってるかどうかもわからない。
「あっ、今の写真いいかも!」なんて思いながらシャッターを切って、
36枚の中にそんな一枚があったとしたらラッキーだし、いいだろうと思っていた一枚が
案外イマイチでがっかりしたり……。
それとは逆に、なんとなく撮った一枚が、「めちゃめちゃいいじゃん!」なんててこともあったりする。
そんなふうに、フィルム写真には“喜怒哀楽”があるんです。
目に見えている世界と、写真に写した世界が違ったりする。
それが、すごく面白い。
結果がすぐに分からないから、楽しいんです。
ジャケット403,700円、ニットポロ201,300円、デニムパンツ190,300円、中に履いたパンツ182,600円、シューズ143,000円(すべてメゾン マルジェラ/マルジェラ ジャパン クライアントサービス︎TE L:0120・934・779)
『メモリィズ』
出演:柄本 佑/穂志もえか/梅沢昌代 伊佐山ひろ子 成田裕介 占部房子/香椎由宇/イッセー尾形
監督・脚本:坂⻄未郁
6月12日(金)より新宿ピカデリー他にて全国公開
雄太が九州の⽥舎町へとやって来たのは、⾜を⾻折した義⽗が回復するまで⾝の回りの世話をする ためだった。義⽗が営む昔ながらの写真館の仕事を⼿伝いながら、東京にいる妻と娘との間で、スマ ホで撮った映像を交わす。⼤きな事件は何も起こらないが、⽇々の些細な出来事と、その記録と記憶 の連なりに、家族の⼈⽣という⻑い時間の存在が、静かに、鮮やかに浮かび上がってくる──。
撮影/田頭拓人 ヘアメイク/星野加奈子 スタイリスト/林道雄
取材・構成/河合由樹



















