2024年8月、乳がん(浸潤性小葉がん・ステージ3A)を公表した梅宮アンナさん。手術、抗がん剤、放射線治療を乗り越え、現在もホルモン治療を続けています。2025年5月には、アートディレクターの世継恭規さんと出会って10日で結婚。交際期間がほとんどないまま夫婦になった二人には、お金の使い方や食に対する考え方など、さまざまな価値観の違いがありました。それでもアンナさんは、違いを我慢して受け入れるのではなく、何度衝突しても自分の思いを伝え、二人にとって心地よい形を探し続けています。新婚旅行での靴下1足から、結婚から1年後の誕生日に贈られた4つのバッグまで。「黙って我慢していたら、夫婦は静かに壊れていく」と語るアンナさんに、大人になってからの結婚で欠かせない“価値観のすり合わせ方”を伺いました。
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1年前の新婚旅行で「ソックス代もらっていい?」あの時は本気で離婚を考えた
今から1年前、結婚して初めてタイへ旅行した時のことです。私たち、知り合って10日で結婚したでしょう。普通だったら、付き合っている間に一緒に買い物をしたり、プレゼントを贈り合ったりして、「この人はこういうことにお金を使うんだな」と、少しずつわかっていくと思うんです。でも、私たちには、その時間が全くなかった。お互いのお金の感覚を知らないまま、いきなり夫婦になったんですよね。
タイのモールに入っていたALOで、よっちゃんは自分のものを、私はソックスを選んでいました。よっちゃんから「それ買うの?」と聞かれたので、「うん」と答えたの。私としては、その次に「じゃあ、アンナのも買ってあげるよ」と言ってくれると思っていた。でも、それっきり。どうやらお会計も別々なわけ。
ところが、店員さんから「商品を合算すると、ノベルティの袋がもらえます」と言われた途端、よっちゃんが「じゃあ一緒で」と言ったんです。私は「あ、買ってくれるんだ」と思って、すごくうれしかったんですよ。
部屋に戻ると、よっちゃんは、もらったノベルティの袋をうれしそうに眺めていました。よっちゃん、そういうグッズが大好きなんです。そして、そのあとですよ!!「さっきのソックス代、もらっていい?」って!!もう、びっくり。本当に「えっ?」って。
ソックスはALOのもので、少し高く3足で1万円以上したんです。だから、よっちゃんにしてみれば、「靴下がそんなにするの?」という感覚だったみたい。でも私は、本気で「これはまずい。離婚かもしれない」と思ったの。だって、金額の問題ではないんですよ。私にとっては、夫が妻にちょっとしたものを買うことも、愛情表現のひとつだと思っていた。でも、よっちゃんには、そもそもその発想がなかったんです。
以前の結婚生活でも質素に暮らしていて、夫婦で贈り物をすることも、ほとんどなかったそうです。だから、悪気があるわけではないんですよね。ただ、よっちゃんが生きてきたなかには、私が当たり前だと思っていた習慣がなかった。
でも、その時の私は、「この人、本当に何にも気づかないんだ」と、ものすごくショックでした。
3,500円のマグロを「高い」と言われて。食への価値観も、愛情の形も違った
一緒に暮らしてみると、そういう違いが、本当に一つひとつ出てくるんです。食べるものもそう。
私が育った梅宮家では、父・梅宮辰夫が食べることにものすごく貪欲な人でした。高いものでも安いものでも、おいしいと思ったら買う。家の冷蔵庫には世界の珍味もあれば、瓶のラムネも入っている。梅宮家は、外食を豪華にするというより、家で食べるものがものすごく豪華だったんです。父からは、「漬け丼を作るなら、マグロはちゃんとしたものを買わなきゃダメだぞ」と言われて育ちました。
だから結婚したばかりの頃、よっちゃんにおいしい漬け丼を食べさせてあげようと思って、近所のスーパーへ行ったんです。魚売り場で、おいしそうな3,500円くらいのマグロの柵を選んだら、よっちゃんから「高い!」と言われちゃって。代わりに出してきたのが、1,500円くらいの、私にはあまりおいしそうに見えないマグロ。「漬けにするんだから、こっちでいいじゃん」って。
でもさ、私にとっては、“漬けだから何でもいい”ではないんですよ。父が作ってくれた漬け丼には、家族においしいものを食べさせたいという気持ちが入っていた。だから私も、よっちゃんに同じようにしてあげたかったんです。でも、その場でそれを全部説明するのは難しいでしょう。「そうじゃないんだよな」と思いながらも、また喧嘩になるのが嫌だったので、結局、自分でさっとお会計をして、「よっちゃんの分も買ってきましたから」と、ちょっと嫌味を言いました(笑)。
あとになって、よっちゃんが「アンナがやりたかったのは愛情なんだよね。お父さんが作ってくれたのは、“愛情漬け丼”なんだよね」と言ったんです。そこまで分かってくれたのは、一つの進歩でした。金額だけを見れば「高いマグロ」だけど、私にとっては、そこに愛情が入っていた。よっちゃんも、それを少しずつ分かってくれるようになったんですよね。
今では、以前ほとんど行かなかったスーパーにもよく行くようになったし、料理もするようになりました。食材を見ながら、これはこんなにするんだと、いろいろ学んでいるみたい。ただ、今でもマグロの柵は買ってきてくれませんけどね(笑)。でも、どちらの育ちが正しくて、どちらかが間違っているわけではないんです。見てきたものも、食べてきたものも違う。そんな二人が一緒に暮らすんだから、そりゃあ一つひとつ揉めますよ。
特に私たちみたいに、長い間それぞれのやり方で生きてきた大人同士は、もうお互い出来上がっちゃっているから。価値観なんて、最初からぴったり合うほうが珍しいんじゃないかなと思います。
言わなければ伝わらない。靴下1足からバッグ4つまでの1年
お金の価値観って、離婚の原因にもなるくらい大きな問題でしょう。だから私は、違うと思ったことは、きちんと言うようにしています。「これを言ったら空気が悪くなるかな」「また喧嘩になるかな」と思って黙っていたら、結局は我慢なんですよね。我慢を重ねていると、そのうち変な諦めが生まれて夫婦は静かに壊れていく。だったら私は、言って壊れるほうがまだいいと思っているんです。もちろん、こちらが言えば、向こうからもいろいろ返ってきます。すごく傷つくこともありますよ。でも、言わないまま我慢することは、私にはできないんです。
そんなことを繰り返しながら1年が経ち、今年の誕生日。よっちゃんが一向に何も言ってこないから、私から「私のお誕生日、何か考えてくれてるの?」とストレートに聞きました。そしたら、「考えてるよ」って。絶対、その時まで考えていなかったと思うけど(笑)。「何が欲しいの?」と聞かれたので、「ハイブランドのバッグが欲しい」と答えました。それで、実際にお店にも行ったんですよ。でも、たまたまその時は欲しいと思えるバッグがなくて。それなら同じくらいの金額で、ほかの気に入ったバッグをいくつか買ってもらうほうがいいかなと思ったんです。結局、バッグを合計4つも買ってもらいました。
1年前は、ソックス代を請求してきた人が、ですよ。すごいでしょう(笑)。よっちゃん、成長したんですよ。本当に。私も頑張りましたよ、この1年間。一つひとつ、言い続けましたから。もちろん、私はもともと、男性に何でも買ってもらってきたわけではありません。欲しいものは基本的に自分で買ってきたし、今回も、高価なものを買ってもらうこと自体が目的ではないんです。よっちゃんも、「はっきり言ってくれないと分からない。かわいく『これが欲しいな』と言ってくれたら買うよ」と言っていました。
結局、私が求める愛情表現と、よっちゃんが自然にできることは違うんですよね。「これくらい察してよ」と思って待っていても、相手には分からない。だから、言葉にしなければ伝わらないんです。それで今回、バッグを買ってもらって気づいたことがあります。
私がプレゼントを欲しいのは、よっちゃんに「ありがとう」と言いたいからなんです。感謝をしたいから欲しい。デートで男性にご馳走してもらいたいのも、「ありがとう」と言いたいからなんですよね。買ってもらったあとは、私、ずっとご機嫌でしたから。「よっちゃん、分かりましたか?」って(笑)。
いつも何でも買ってほしいわけではありません。一年に一度、誕生日に何かを贈ってもらって、心から「ありがとう」と言う。今の私たちには、それくらいがちょうどいいのかもしれません。価値観は、最初から合っているものではないんですよ。まして、育ってきた家庭も、これまで歩んできた人生も違う二人なんだから。違いを黙って我慢するのではなく、きちんと言葉にして、時には喧嘩もしながら、二人に合う形を一つずつ作っていく。それが、一緒に暮らしていくということなのかなと思います。
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撮影/古水 良(cheek one) ヘア・メーク/森 ユキオ(ROI) スタイリスト/乾 千恵 取材/日野 珠希 構成/玉榮日菜子
SHOP LIST
〇カイタックインターナショナル 03-5722-3684
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