障がいのある子どもの介護を辛いものとして訴えるのではなく、むしろ「一緒に生きてゆく楽しさ」として伝えている女性たちを取材してきました。
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畠山織恵さん(43歳・大阪府在住) 一般社団法人HI FIVE 代表
「諦めずにチャレンジすること」
「誇り高く生きること」
障がいの有無にかかわらず
すべての人へ伝えたい
「誇り高く生きること」
障がいの有無にかかわらず
すべての人へ伝えたい
’99年19歳のときに息子の亮夏くんを出産した畠山織恵さん。亮夏くんが重度の脳性麻痺と診断されたのは、生後10カ月のときでした。「診断前は、母子手帳に記載されている通りに成長しないことに不安を抱えていました。診断されたことで、彼のために何ができるか…前を向けるようになりました」。
亮夏くんは声を出しづらく、スムーズに話せません。歩くこともできません。けれど23歳になった彼は、自立の道を歩み始めています。障がいのある人との関わりを実践してもらうため、自らが“生きる教科書”となり、看護や介護系の大学や施設へ学びを届けています。
「彼が10歳のとき『やりたいことがわからない』と言ったんです。じゃあ“興味のあること”をやってみようと決めました。乗馬やパラグライダー、一人旅……ひとつひとつクリアした結果、彼は“やる前から諦めず、行動する”ようになったと思います」。
’18年には一般社団法人を設立。社会的な活動をすることでより多くの人に思いを届け、社会にうねりを起こしたいと活動しています。
畠山さんのモットーは、亮夏くんを一人の人間として、そしてビジネスパートナーとして対等に接することです。講師として努力や工夫が不足していると感じたときには他の家族が心配するほど、厳しい指摘をすることもあるそう。具体的な指摘はもちろん、「障がいがあるからって、甘えてんのと違うか? どれだけ工夫できたん? 今できることを全部やったんか? ほんまにそれでいいんか?」と喝も。そのときは悔しそうに黙ってその言葉を聞いていた亮夏くんでしたが、その次の講義では改善されていたそう。「そのときは『すごいやん!どんな工夫をしたん? 教えて!』と尊敬を込めて褒めました」。
畠山さんの子育てのルーツは、乙武洋匡さんのお母様なのだそう。「乙武洋匡さんの著書『五体不満足』の中で、親子の関係が語られていました。乙武さんのお母様は、息子さんを障がいがあるからと特別扱いすることなく接していました。私も息子とこんな関係になりたいと勇気づけられました」。
そして今、畠山さん自身も新たな一歩を踏み出しました。「これまで、障がい児療育の専門家としてだけでなく、障がい者家族当事者として多くの講演をしてきました。〝障がいを理由に夢を諦めないこと、自分らしく誇り高く生きること〟を伝え続けています。このことは障がいの有無にかかわらず、すべての人に共通することだと思いますので、今後はより多くの人に私の思いを届けたいです。私が乙武さんのお母様に勇気づけられたように、私も誰かの希望になれたらと思っています」。
取材/髙谷 麻夕 ※情報は2022年11月号掲載時のものです。