勉強するのに遅すぎるなんていうことはありません。学び直すことで、ひと足早く“新たな景色”や“違った自分”に出会えた方々を取材してきました。
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松井美歩さん(48歳・東京都在住) 総合系コンサルティングファーム勤務
東京理科大学工学部建築学科在籍
社会人だからこそ意欲をもって
学びに行ける。プライベートな時間は
少ないけど、毎日が充実しています!
学びに行ける。プライベートな時間は
少ないけど、毎日が充実しています!
2021年に東京理科大学工学部建築学科夜間主社会人コースに入学した松井美歩さん。平日昼間はフルタイム勤務しながら、夜間に大学に通っています。
「もともと、いろいろな建築物を見たり、設計に興味がありました。5年前に家を建てたとき、自分の意見やアイデアを出しましたが、『もっと正しい知識があればよかった、建築のことを知っていればもっと気に入った家が建てられたかもしれない』と思ったこと、そして手に職をつけたいと考えていたこともあり、建築学科に入学しました」。
卒業した短大は文系だったそうです。「自分は理系が苦手だと思っていたので、学生時代は、理系を選ばなかったし、受験で通るとは思えませんでした。でも社会人コースだと、入学の門が広くなっていて入りやすいので、今の私でも入学できるのではないかと思い、思い切って応募しました。入学してからは、授業についていくために、家庭教師をつけて勉強をしました」。
学生時代は勉強も遊びも大切だったので、その当時は、こんなに勉強することは考えられなかったそうです。「25人ほどいる社会人クラスは、学ぼうとする意欲がある人たちが多く、私にも刺激になります。性別も年齢も職業も全く違うクラスメートたちですが、同じ目標に向かっているので、辛いときも励みになります」。
東京理科大学を選んだ理由は、昼間の現役生と同じ内容を学べ、建築界の第一線で中心的に活躍する素晴らしい教員、講師陣が教育に取り組んでいること。専門学校を選ばなかったのは、建築士の試験に合格するためのテクニックだけを学びたくなかったからだそうです。
「大学では、建築史や環境工学、構造力学など建築学の全体像をつかむことができることが魅力でした。知らなかったことや新しいことを学べるので、本当に楽しいです」。
しかし、大変なこともあります。平日の日中は、仕事。夜は、学校。休みの日でも課題に追われ、週末はプログラミング会社で3Dモデルの制作のアルバイトをしながら学んでいるので、時間がないといいます。
「今は、時間に追われていることが多いですが、充実しています。大学の授業は、昼間の学生と同じ講師だけあり、授業内容も充実しているし、頼れる人脈もあります。ゆくゆくは自分の事務所を立ち上げることができたらと思っています。資格をとれても50歳過ぎているので、そこから、卒業したての学生と競うのは難しいかもしれません。でも、子育ても社会人の経験もある私だけの強みを生かした道に進んでいきたいと思います」。
撮影/BOCO 取材/加藤景子 ※情報は2023年2月号掲載時のものです。