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Lifestyle「更年期」のクスリ

飯島直子さん「30代前半から子宮筋腫と子宮腺筋症、婦人科系の疾患をダブルで抱えて」

30歳以上の女性の20~30%にみられる子宮筋腫は、エストロゲンが分泌されなくなる閉経と同時に小さくなるものでもあります。今回お話ししてくれた飯島直子さんは、自身のエストロゲンと向き合って様々な健康管理法と自分なりの知見を得たと言います。

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◯ 飯島直子さん(54歳・女優)

1968年2月29日、神奈川県生まれ。バラエティ番組「DAISUKI!」やドラマ「最後から二番目の恋」「いつか陽のあたる場所で」などで活躍。近年は朗読劇「青空」(2019年・2021年・2022年)で女優としての新境地を開拓中。

子宮筋腫を小さくするお薬で
擬似更年期症状に。
予行練習と心の準備ができました

30代前半から子宮筋腫と子宮腺筋症、婦人科系の疾患をダブルで抱えてきました。子宮筋腫が大きくなってきたので小さくするために去年の6月から11月末まで6カ月間薬を飲むことに。そうすると生理が止まるので、そこで初めて更年期症状のようなものを感じました。ホットフラッシュ、むくみ、倦怠感。これが同世代の友人が言っていた更年期というものなのだなと理解できました。

— 飯島直子さんといえばSTORY世代にはバラエティ番組「DAISUKI!」などでなじみの深い存在。抜群のスタイルと明るく気さくなキャラクターで多くの人に親しまれています。そんな飯島さんが30代前半から20年近く子宮系の疾患と向き合っていたとは驚きです。

昔は子宮の内側・外側に内膜ができてしまう疾患をまとめて子宮内膜症と呼んでいたようですが、あるときから子宮の内側にできる疾患を子宮腺筋症、子宮内膜が子宮の外側にできるものを子宮内膜症と呼んで区別するようになったそうです。筋腫も腺筋症、どちらも月経痛や月経経血量過多の症状を引き起こし、エストロゲンが分泌されている限り、進行するそう。筋腫をこれ以上大きくしないためにもエストロゲンを止める、つまり生理を止める(*1)必要性が出てきました

でも、私は何でも西洋医学に頼るというよりは、少しでも自分の体の力でよくしていきたいと考えるほうなので、筋腫に関しても最初は漢方薬で改善できたらいいなと考えていました。2年ほど、朝晩煎じて飲んでいたのですが思ったほど筋腫が小さくならなかったので、婦人科の先生と相談して薬を使うことにしました

結果的には、それほど劇的な縮小にはならなかったものの、ある程度の進行は食い止めることができたようです。同時に、いずれ来る更年期症状の予行練習ができたような気がします。

【*1・生理を止める】 子宮筋腫や子宮腺筋症の進行を食い止めるために注射や内服薬で生理を起こさないようにする「偽閉経療法」によって発汗やイライラなどの更年期症状が起こることも。6カ月以上生理を止めると骨量低下を招くため、長期治療はできないそう。

◇ 理想は薬より自己回復力。自分の体の力を信じて食事やウォーキングをコツコツと丁寧に

お薬を飲んでいた昨年11月に、毎年公演している朗読劇を行ったのですが、舞台は強い照明が当たっているせいもあってとにかく暑くて暑くてたまりませんでした。なるべく薄着をしていたのに服の下で汗が滝のように流れる経験も初めてでした。本格的な更年期はまだですが、予行練習で少し勉強できたので、いざというときには慌てずに済むと思います

もともと、健康のために継続できる運動習慣、食生活のコントロールは自分に無理のない範囲で続けています。

まず食事は1日に2回、昼と夜にいただきます。「朝は王様のように、昼は貴族のように、夜は貧民のように食べよ」という言葉がありますが、私の食生活もまさにそれ。朝昼兼用の1回目の食事は量も品目も多く炭水化物もしっかり摂ります。夜はおかずをメインに。どちらもできる限り自分で作ります。料理は気分転換にもなりますし、台所に立っているときは無心になれます。

運動は週に2回の筋トレを自宅で行います。トレーナーには頼らずに「ぼっちトレーニング」(笑)。若い頃にジムに通ったり、いろいろなトレーナーの方にお世話になったりしたのでそのノウハウを蓄積して自分で組み立てたオリジナルメニューを作って実践。ストレッチポールや筋膜リリース、ストレッチベルトなどを使ってトレーニングします。またウォーキングも好きで、ただひたすら早歩きで約45分で8キロから9キロぐらい歩きます。

とはいえ私が運動を習慣づけられたのは40代になってから。もっと若い頃から運動習慣をつけておけば筋肉の貯金ができていたのに、とちょっぴり後悔。それでもいくつになってからでも運動を始めるのは良いこと。更年期世代を過ぎても運動習慣が残っていれば骨粗しょう症やその他の病気リスクを減らすことができます。更年期がきっかけで運動を始めた人はその習慣を貯金として持ち越すことができるので体を動かす習慣をつけることは本当にお勧めです。

そのほか、体に入れているものとしては毎日のビオフェルミンと「プレミアムエイジングサプリ」というサプリメント。知り合いのラーメン屋さんがご友人と開発されたということで勧められて飲んでみたらシトルリン、アルギニン、オルニチン、コリンやナイアシンなど食品から摂るのが難しい成分が入っていて、おまけに美味しい(笑)。調子が良いので去年から続けています。

◇ 本格的な更年期が来たとしても、ホルモン補充療法は選ばないつもり。リアルな体調と自然体で向き合っていきたいから

— ご自分のキャラクターを自己分析して「地味な人間なんです」と言う飯島さんですが、地味と言うより、自分の目で確かめ、自分の頭で考えて地に足がついた生き方をされているように感じます。その考えは、最近認知度が高まり、美容目的でも始める人が増えつつあるホルモン補充療法にも及びます。

子宮筋腫を小さくするのに最初は漢方でがんばっていたように、私は西洋医学に頼るのではなく、自己治癒力で自分の体を回復させたいほう。最近は更年期症状を和らげるために行うホルモン補充療法なども認知されてきましたが、やはりある程度のがんのリスクが高まるということに加え、ホルモン補充療法も一生はできないわけですからリアルな現実の体に戻った瞬間、自分の体がどうギャップを感じるのか。それを考えると私は慎重にならざるをえません。

更年期というものは女性であれば40代から50代にかけて誰にでも訪れ、症状の重い軽いはあるけれどみんなが通る道。自然の理で体からなくなっていくものを無理に補おうとしなくてもいいのではないか? と思ったりします。それと、私の周りにも更年期症状に見舞われている友人が多くいるのですが、彼女たちを見ていて思うのは、仕事の有無や多忙かどうかなどは更年期症状には関係がないのではということ。友人の中には、

前向きな性格でバレエの先生としてとても忙しくしているのに、10年近く気分の浮き沈みや倦怠感に悩まされている人もいますし、専業主婦でも症状がほとんどない人もいます。仕事や生活リズムや性格との関連性はあまりないように感じるので、対策と言っても適度な運動ときちんとした食生活以外は特にはないのではないでしょうか

ただ、定期的な検診は必要だと思いますし、いざというときに頼れる婦人科の先生はいたほうが心強い。私も検診は欠かしませんし、年に一度は体全体を診てもらう1泊2日の人間ドックにも行きます。「わっしょい」のママ・あやちゃんとヘアメークさん3人で女子会ドックと称して、ともすれば憂鬱な気分になりがちなドックを楽しく過ごす工夫をしています。体のことを考えて健康を意識しながら、できる限り楽しくワイワイと笑って過ごしていくのが私の理想。

今月で55歳になりますが、まだまだ挑戦したいこともいっぱい。毎年続けさせていただいている朗読劇「青空」もライフワークの域になってきました。今年もオファーをいただけるか分かりませんが(笑)役者が連日動かず朗読するだけで観客のイマジネーションを刺激できる、芝居するよりももっと心を震わせられるような舞台を極めるためにも健康と真摯に向き合いながら過ごしていきたいと思います。

近所の土手をウォーキング。8~9キロを 45分ペース歩くのでかなりの早歩きです。

撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/馬田恵美 取材/柏崎恵理 撮影協力/わっしょい  ※情報は2023年3月号掲載時のものです。

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