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Lifestyle憧れリーダー連載

3Mジャパン社長・宮崎裕子さん~40代はまず「選択」をして、その選択を自分で正解にしていくこと~

女性としてこれからのキャリアについて悩むSTORY世代。’22年に女性活躍推進法が改定されてからはますます女性の活躍が期待され始め、徐々に女性管理職比率も高くなってきています。個人として評価され活躍される女性リーダーの方々には、キャリアの狭間で自身の生き方を見つめ、可能性を信じてチャレンジする姿がありました。今回ご登場いただくのは、スリーエム ジャパン株式会社で社長として活躍されている宮崎裕子さんです。(全2回の2回目)

記事前編はこちら


宮崎 裕子さん
スリーエム ジャパン株式会社 代表取締役社長

STORY編集部(以下同)――仕事から離れて楽しんでいることや、オンとオフを切り替えるアイテムがあれば教えてください。

身体を動かすことが大好きで、ランニングやヨガ、筋肉トレーニング、ドラゴンボートを楽しんでいます。仕事とプライベートのスイッチを意識して切り替えるようなことはしておらず、常に会社のことは考えてはいます。ただ、ハードなトレーニングに集中すると、会社のこともさすがに考えられなくなります。トレーニングウェアやダンベルはそういう意味では、スイッチを切り替えるアイテムですね。

――仕事を始めたい、けれど何から始めたら良いのか分からない、と悩むSTORY世代(40代)に向けて、アドバイスやマインドの持ち方などをお伺いしたいです。

「自分の可能性に蓋をしない」マインドを持つことをおすすめします。「自分には無理だ」「今までやったことがないから」という固定概念を無くして、可能性を模索し、いろいろなことにチャレンジすることで道は開けます。「何から始めたら良いのか分からない」というのであれば、失敗をたくさんするつもりでまずは何かを始めてみたらどうかと思います。チャレンジすることで得られることは沢山あるはず。
「仕事を始めるべきか、今のままでいるべきか、どちらかにするか決められずに悩んでいる」という場合もあるかもしれません。私の場合は、二つの道のどちらを選択するか迷った場合、一旦、俯瞰してみて、「迷っているということは、どちらの道も今の時点では大差はないんだ」と考えます。自分にとって絶対にやりたい、ということであれば、迷うことはなくやりたい方を選んでいるから。迷っている時点で、どちらも正解ではなく、どちらも誤りではないんです。どちらでも変わらないんだ、と考えて、一方を選択し、一旦、選択したら、次は、自分が選んだ道を「選んで正解だったな」と心から思えるように進めていく。そしてもし自分一人で思うとおりに進めることができなかったら、人に助けを求めて、人の力を借りて、自分にとっても周りの人にとっても、選んだことを正解にしていくという考えで進めています。皆さんも迷ったときは、そんな風に考えて進めることをおすすめします。

  • (左)息子さんからのメッセージ入りの石と(右)ハート型ケースに入っているポスト・イット® ノートは、いつもそばに置いています。

――現在、社内で力を入れて取り組んでいることを教えてください。

「多様性の促進」です。弊社では「イノベーションは多様なアイデアから生まれる」と信じています。1つの視点からよりも、様々な視点で考えたほうが、新しいアイデアが生まれやすい。性別、年齢、属性にかかわらず、すべての社員が自分の力を一番発揮して働けるような環境を作ろうとしています。
昨年秋より、DE&I Committeeを社内に発足しました。「Allyship」、「Diversity Awareness」、「Generation Diversity」、「Women’s Diversity」の4つのコミッティーからなる組織です。希望する社員が自主的に参加し、それぞれのテーマの抱える課題を解決するためにディスカッションを行ったり、社内向けの啓もう活動を実施したりしていて、私も後押ししています。
また、多様性を促進するために新しい働き方「Work Your Way」を昨年5月から導入し、本社オフィスも改装しました。「在宅」「ハイブリット」「出社」から自身に合わせ、なおかつ成果を出すことを目指しています。

「社外」活動では、直近では2月11日の「科学における女性と女児の国際デー」(International Day of Women and Girls in Science)の支持を表明しました。特に、日本のSTEMを取り巻く女性の環境は充実しているとは言えません。経済協力開発以降(OECD)が2021年に発表した調査によれば、STEM分野の大学入学者の女性比率は日本では17%にとどまっています。また、弊社が毎年実施しているState of Science Indexという科学に対する意識調査の昨年の結果では、では「STEM分野でジェンダー格差がある」と回答した日本人の比率は36%にとどまっています。日本の人々のジェンダーに対する意識と実情に乖離があり、深刻な「アンコンシャス・バイアス」が、日本では根強いといえるのではないでしょうか。

特に日本では女性に対するSTEMの道へ進む壁が厚いと思われたため、弊社では内閣府が主催する女子高生のSTEMキャリアに対する理解を深める「リコチャレ」というイベントにも参画しています。女子中学、高校などでの講演活動を弊社としても、個人としても情熱をもって取り組んでおり、自身の経験を踏まえ「自分の可能性に蓋をしないこと」の重要性を伝えています。最終的には日本から「リケジョ」という言葉が無くなることを目指しています。「リケジョ」という特別にわざわざ呼ばれるような社会ではなく、だれでも性別にかかわらず何かを選択できるという社会になればと思っています。

自分の可能性を狭めないで、他にも道があるよ、という言葉は、自分にも返ってきます。中高生に向けて話した言葉が自分の身を奮い立たせる作用があるな、と思っています。聞いている中高生が自分の無限の可能性に気がついてくれたら嬉しいですし、自分もそれでまた元気をもらうことができます。一緒に行った社員も、「今までの自分を振り返るきっかけになりました」と話してくれたりします。

――働いている女性が管理職になりたがらないという話をよく聞きますが、どう思われますか?

管理職に就くと裁量が増えるので、時間配分などが自由になり、充実感も増すと思っています。管理者になって責任が重くなり、辛くなるというのは、案外思い込みの場合もあるんです。管理職になったら、より成長できる環境に移行できます。自分が成長している実感を得るというのは仕事している喜びの一つですし、チャレンジしてみるといいのかなと思います。

チャレンジをしてみて、何か失敗しても、そのときのその状況で上手くいかなかったというだけのことで、全人格を否定されているわけではないと思います。なんでも、振り返ってみたらいい経験になります。

その意味で、時間軸をずらすことは大事かなと思っています。ポスト・イット® ノートも、強力な接着剤の開発としては失敗だったわけですが、その接着剤の開発者とは別の社員が「くっつくけれどはがせる」という特性を活かせるのではと思いついて、開発を開始した製品なんです。時間軸を伸ばしたら、ある用途では失敗だったことが、用途を変えて生きてくるわけです。チャレンジして失敗して辛い思いをもしかしたらするかもしれない。でもその経験は、後で生きてきます。

私自身が仕事をしている姿を見てもらって「楽しそうだな」と思ってもらえたら、女性の管理職も増えていくと思うので、自分自身が楽しむことを心掛けています。

撮影/BOCO 取材/加藤景子

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