私たちが知らないうちに時代は変わりTwitterでは「#神待ち」とつぶやく子どもたちで溢れる時代に。神は本当にいるのか。何も知らない子どもたちに降りかかる罠とともに考えてみました。―― 子どもたちが最終的に駆け込むシェルターや弁護士に聞きました。
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家出をする子どもたちにはどのような背景があるのか【5種類に分類】
★ 児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数
★ 居場所がない追い詰められた子どもたちは 家出や自傷行為を繰り返します
★ 〝プチ家出〟くらいなら、健康な自立期の一場面。 真面目な優等生の子どもも追い詰められている
年齢層別行方不明者数の推移
行方不明者数が最も多いのは圧倒的に10代、20代。思春期、青年期と言われる年齢層で、ちょうど受験なども重なる時期。令和2年にはコロナ禍の影響もあって数が減ったものの、翌年にまた増えてきているのが気になる……。
児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数
うなぎ上りに増えている件数の中でも、増えているのが心理的虐待だとか。児童虐待の防止等に関する法律が変わり、子どもへの言葉の虐待のほかに、暴力的な夫婦喧嘩を子どもの前ですることも心理的虐待という定義に。
居場所がない追い詰められた子どもたちは 家出や自傷行為を繰り返します
7年にわたり運営してきた子ども食堂には、小さな頃から家に帰りたがらない子どももいました。家庭での居場所がなく、日常的に大人から暴力や虐待を受けて、追い詰められた子たちは自傷行為を繰り返して家出…。児童相談所に訴えても、さまざまな理由で問題が解決できず、だったら、まずは〈とにかく安心・安全に寝られる場所を!〉と「ハピネスハウス」を立ち上げました。
誰の目も気にせず、心身が守られる居場所を作ってあげたかった。例えば、親子喧嘩でクールダウンが必要…なんて時にも中学生以上の女性なら誰でもOKです。危険に巻き込まれたり、手遅れになる手前で食い止めたい。私たちは「あなたはそのままでいい」と少女たちに伝えています。ここには年齢の近いスタッフが相談に乗ったり、医療機関やカウンセリングへの同行、生活保護等の行政手続きの支援など、少女の自立に向けたサポートも行います。〝第二の実家〟そんなふうに頼ってもらえたら…いいですね。
❷ 「あなたはそのままでいい」と伝える
❸ 親子ともに誰かを頼り、助けを求める
〝プチ家出〟くらいなら、健康な自立期の一場面。 真面目な優等生の子どもも追い詰められている
「子どもの人権救済センター」には、生きるか死ぬかで追い詰められている子どもたちからの相談が入ってきます。私たち弁護士は子どもに児童相談所を紹介するしかなかった。子どもたちの一時保護所の入所率は東京で150%~200%。小さな子どもを優先せざるを得ないので、高齢の子どもがなかなか一時保護所に入れない状態なんです。
行き場をなくした子は繁華街に行き、野宿し、性を買われている。それで子どもシェルターを作りました。家出前に相談してくる子どもの多くが、実は勉強もできる真面目な優等生。親に「あれしなさい」「こうしなさい」と怒られ、管理支配されて生きてきた子たちなんです。
塾へ行くにもGPSで監視され、門限に遅れることは許されない、遊ぶためには「塾に行く」と嘘をつくしかない。あるがままの自分が認めてもらえない。重い心理的虐待です。生まれてきたことを悔やみ、もう親を殺すか、自分が死ぬしかないくらいのところに追い詰められる。それでも先を見通せる子どもは、家出を決意し、助けを求めてくるのです。
❷ 「教育」と称して子どもを服従させない
❸ 本人と語り合い、メッセージを伝える
撮影/杉本大希 取材/石澤扶美恵、竹永久美子 ※情報は2023年6月号掲載時のものです。