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中学受験、秋からママができることって?必要なマインドは?

「中学受験」まで残すところあと3カ月。志望校を絞り込んでラストスパートをかける時期なのに、天気以上に安定しない子どもの偏差値に一喜一憂してイライラ……。でも、そのママのメンタルの揺れこそが、子どもの心、そして成績をも左右してしまうのです。

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目次 ★ ママの一番の仕事は〝笑顔〟でいること


ママの一番の仕事は〝笑顔〟でいること

教えてくれたのは...品川女子学院理事長 漆 紫穂子先生

品川女子学院理事長。1989年からの総合的学校改革により7年で入学希望者30倍、偏差値を20UPさせ、教育界だけでなくビジネス界からも注目の的。『女の子が幸せになる子育て』など著書多数。

◇ 漆流〝ママのスマイル〟を生み出す3つのメソッド

「中学受験」を前にしたお母さま達にお話しすると、その独特の価値観や雰囲気の渦に巻き込まれ、まるでサイロの中に閉じ込められているように見えることがあります。受験直前、私が決まってお母さま達にお伝えしているのが、「ママの一番の仕事は笑顔でいること――」という言葉です。サイロから抜け出し一息ついて笑顔が戻るよう、3つのことをお伝えします。

まず一つめは、「学校選びは合う、合わないが一番大事」ということです。人は現在バイヤスで目の前のことが大きく見えるので、受験期は偏差値などの数字が大きく見えがちですが、長年見ていると、数字は移ろうもので、受験のその後の人生の方がずっと長いのです。少し未来を見て、合う学校の中から選ぼうと思うと、選択肢が広がります。さらに言えば、「受験しない」という選択もあるのです。

二つめは、「我が家の軸を決める」ことです。親の手を離れる未来から逆算してどんな人に育ってほしいか夫婦で話し合って、優先順位を書いておきます。その軸に合わせて、親が候補の学校をいくつか選んで分析します。これがあれば、受験期特有の集団心理に巻き込まれることも少なくなります。

三つめは、「最後は子ども本人に決めさせる」と心の準備をしておくことです。どこに行っても思い通りにならないことは起きます。そのとき、それを乗り越えられるのは、〝自分で決めた子〟です。

◇ 受験勉強の過程で得たものはその先、長い人生の財産に――

受験期はいろいろなことが起きます。何が起こるか分からないが何か起こると想定して、準備をしておくことがママの心の安定につながります。

例えば、人手を確保しておくこと。受験期のママは孤独になりがちですが、こういうときこそ、祖父母、親戚、友達など頼める人に、何かあったら手伝ってと、事前に時間を空けておいてもらいます。特に見逃しがちなのが、下の子のお世話。生徒に聞くとおじいちゃん、おばあちゃんと過ごす時間が息抜きになったという子も少なくありません。ママが自分の時間を作って余裕をもつことも子どものため。「あなたのため」とイライラされるより、ずっといいのです。

もしかしたら、そのイライラの原因が、子どもではなく、自分にあることも。「それは私にとってなぜ問題?」と、自分と子どもの問題を分けて考えることも大切です。そして、自分をいたわることも。この時期は、更年期とも重なるので、婦人科で血液検査をし、ホルモン充填療法をしたらあっという間に楽になったという人もいます。

中学受験は、ちょうど子どもが自分のことを自分で決めて成長する時期と重なります。同じ目標に向けともに歩む「中受」を通して、少しずつ親離れ、子離れを経験し、新しい親子の関係を構築する機会ともなります。「親子で未来の幸せにつながる学びの場を選ぶ大切な時間」そう捉えて過ごした受験期ならば、結果がどうあっても、受験勉強の過程で得た財産は決して消えません。すべては未来に繋がっています。

撮影/田頭拓人 取材/山崎智子、宮寺佳愛、竹永久美子 ※情報は2023年11号掲載時のものです。

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