「自身が不機嫌ハラスメントをした経験はありますか？」という読者アンケートに、なんと約80％の方がYESと回答。そのイライラ、実は不安定なホルモンバランスが要因でした。医学博士・海原純子先生×潮田玲子さんの対談でお届けします。

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潮田さん（以下敬称略）
引退して約12年経つのですが、選手時代を振り返ると、生理のことは無視して、とにかく根性で我慢して……。もっと自身のカラダやホルモンのことを知っていたら、ストレスなく競技ができたのではないかと思います。

海原先生（以下敬称略）
実は、ストレスと脳、ホルモンは密接に繫がっているんですよ。

潮田　
えっ！？ 私、PMSや生理で常にイライラしていることが多かった気がします。生理だと、昨日できたことが今日はできない、といったふうにパフォーマンスが落ちていましたから……。

海原　
脳の下垂体からFSHとLHという2つのホルモンが出るのですが、それが卵巣に刺激を与えるんですね。それで、ストレスが大きいと卵巣で排卵が起きなくなり、無月経になってしまうこともあります。

潮田　
アスリートに多い症状ですね。でも、引退した今は今で、40代を迎えホルモンバランスが不安定なうえ、家事や仕事と忙しくて、またイライラすることも多くて……。

海原　
生理中やPMS、更年期には気分が落ちるけど「その時期だからしょうがない」と認識すれば、二重のストレスになりません。自分のリズムを知って、自分の中でのプログラムを作るといったことも大事。それには、ピルを使うのも手ですね。

潮田
今は低用量ピルがあるので昔より割と使いやすいですよね。

海原　
あとは、食事などでケアしておくことも大切です。マグネシウムが不足すると疲れたり、イライラしがち。日本人のほとんどは、マグネシウム不足なんですよ。

潮田　
私は、最近PMSや生理の日、「ママ、ちょっと体調悪くて」と家族に伝えるようにしているんです。自身はもちろん、周囲の理解も大事だなと思い、2年半前に社団法人を立ち上げたのですが、私自身、結婚して10年が過ぎても「生理」なんて口にしなかったし、トイレに生理用品も置かなかったんです。でも、活動するにあたり夫に相談したら、応援してくれて。今は、8歳の息子にも伝えるようにしています。

海原　
コミュニケーションこそが、ストレスを乗り切る一番の手よね。STORＹ世代の女性たちはイライラを抑え込んでいることも多いと思いますが、我慢こそが大敵。〝我慢〟を続けると、感情を失いうつにもなる「失感情症」、突発的な行動「感情爆発」やいわゆる心身症「身体化症状」と、3つのリスクがあるんです。

潮田
放っておくと怖いですね。

海原
誰でも〝イライラ〟はしますが、自身の内側を表現して、アウトプットできるものを持つことです。例えば、歌とかスポーツとか。

潮田
あっ、それなら私はゴルフです！ 誰に褒められるわけでもないけど、上達すると嬉しくて。

海原
そうやってストレスを溜めないこと。それが、家族や自身の幸せにも繫がるんです。

撮影／田頭拓人　ヘア・メーク／森ユキオ（ROI）スタイリスト／大碕ちほ　取材／東 理恵、香取紗英子 ※情報は2024年4月号掲載時のものです。