幼少期からCМやドラマに出演して才能を発揮。今も俳優として活躍し続けている安達祐実さんは、変わらぬ可愛らしさで2人のお子さんの母親でもあるSTORY世代です。近年は舞台にも積極的に取り組み、今年6月からはKERA CROSS 第七弾『シャープさんフラットさん』に出演します。仕事や子育てへの取り組み方や44歳の今について、じっくりと伺いました。
★ この1、2年は演劇に集中する期間にしようと思っているんです
★ 大人になった自分で賞を獲りたいなと思っています、意味があるような気がして
★ 苦しくならないように「大丈夫だよ」と自分に言い聞かせながら子育てしています
本番前はワクワク。ほかの人よりは緊張しないタイプなのかなと思います
――6月から、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さんの戯曲をマギーさんが演出する舞台『シャープさんフラットさん』に出演される安達さん。舞台のどういうところに面白さを感じていますか?
お客さんに届けるまでのプロセスが、まず面白いです。ああでもない、こうでもないと言いながら作っていったものが、ちょっとずつ積み重なって、最終的には一つの作品として出来上がる……その工程が楽しくて。あとはやっぱり、演じているその場にお客さんがいて、反応を感じられることですね。だからこそ、セリフの言葉は毎回同じでも、毎回違うものになる。そういうところも面白いなと思います。
――よく出ていらっしゃる、加藤拓也さん主宰の劇団た組との縁はどんなふうに始まったのですか?
ちょうど、舞台をきちんとやってみたいなと思い始めた頃に、「劇団た組の作品に出ませんか?」というお話をいただいたんです。それで、演劇のことはよくわからないけど、チャンスがあるならなんでもやります!という感じで、やらせてもらいました。周りの人たちからも「加藤さんとは絶対一緒にやった方がいい」と言われて、そんな方からオファーをいただけるなんて!と思って。加藤さんのお芝居は、すごくリアルな感じというか、普通にしゃべっているのと同じような空気感でやっていいものだったので、そこで私の演劇に対するイメージを一気に壊してもらったような感じです。
――若手気鋭の劇作家・演出家・映像作家の加藤さんが作る演劇は、確かにとても映像的ですよね。舞台の安達さんも素敵ですが、最初からあまり緊張せずに舞台に立てたのですか?
たぶん、ほかの人よりは緊張しないタイプなのかなと思います。た組に初めて出た時も、みんなが「初日は絶対、手が震える」みたいなことを言っているので、「私も震えるんだな」と思っていたんですけど、全然震えなくて。毎回、本番が始まる10分前ぐらいになると、すごくワクワクしてくるんです。楽しみ!みたいな感じで。
――さすがです。やはり長い芸歴のなせる技なのでしょうか?
どうなんでしょう。たぶん、私がすごく楽観的な性格なんだと思います(笑)。
この1、2年は演劇に集中する期間にしようと思っているんです
――そんな安達さんご自身の趣味や興味があることを教えてください。
趣味は……うーん。私はもう本当に、仕事以外のことは何も続かなくて。裁縫とか手芸みたいなことは好きなので、気が向くとやるんですけど、しょっちゅうやっているわけではないし……そう考えると、何もないかもしれないです。あ、便利な掃除グッズには興味があります。家にいる猫の毛がすごいので、何かいいものはないかなと思いながら、マメに口コミをチェックしています(笑)。
――では、挑戦してみたいことは?
肉体を改造してみたいという願望は、ずっとあります。でも結局、続かない(苦笑)。去年はピラティスに週イチぐらいで通って、「あ、体ちょっと変わってきたかも」と思っていたんですけど、何かの用事で急に行けなくなったのをきっかけに、すっかり行かなくなってしまって。ただ、肉体の衰えは感じるようになってきたし、健康も気になるので、いよいよちゃんとやらなくちゃ、人間ドックにも行かなくちゃ、とは考えています。
仕事面では、今まで本当にたくさん映像の仕事をやらせてもらってきたので、ここ1、2年は演劇に集中する期間にしようと思っているんです。そういう意味では、この1、2年はチャレンジの年になるのかなと思います。
大人になった自分で賞を獲りたいなと思っています、意味があるような気がして
――それで今年、舞台出演が相次いでいるのですね。演劇に集中する期間を作ろうと、なぜ思われたのですか?
映像の仕事を本当にたくさんやらせてもらってきたので、やっていない役柄が映像ではもうそんなにないかもしれないな、と思ったんです。ドラマの仕事で、毎クール、毎クール、アウトプットだけしていると枯渇してくるような感覚もあったので、一旦このペースをちょっと緩めて、演劇の世界に飛び込んでみようと思いました。演劇の世界には、まだやれていないことがたくさんある分、自分の伸びしろを感じられる空白もたくさんある気がしていて。そこで自分がどこまでやれるのか試してみたい気持ちもありますし、演劇をもっとわかりたいというか、しっかり演劇というものを理解したいという気持ちもあります。
――実際に演劇の世界に身を投じて、いかがですか?
まだ全然“足湯”ぐらいの段階で、ぬくぬくっとしているような感じです(笑)。でも、もっと難しいことや厳しい部分にも直面していきたい気持ちはあります。もちろん、それを乗り越えていける力があるかどうかはわからないですけど、チャレンジしていきたいなと。演劇にもいろいろな種類があると思うし、演出家さんによっても作り方が違うと思うので、楽しみです。
――演じる仕事がやっぱりお好きなのですね。
好きなんだろうなと思い始めています。私は2歳で芸能界に入ったので、子どもの頃は“気が付いたら仕事をしていた”という感じで、“好きかどうか”で仕事をしていたわけではなくて。その後、「自分には、これしかできないし」みたいな感じでやっていた時期もあったんですが、今は、この仕事がたぶん好きなんだろうなと感じつつあります。
苦しくならないように「大丈夫だよ」と自分に言い聞かせながら子育てしています
――今後の展望については、どうお考えですか?
紆余曲折もいろいろあったので、今後の人生は穏やかに過ごせたら、それが一番嬉しいです。娘は20歳になったんですけど、息子はまだ小学生なので、まずは無事に育て上げたいですね。
仕事に関しては、いつかまた、大人になった自分で賞が獲れたらいいなって思います。子どもの頃は何個か賞をいただいたことがあったんですけど、大人になってからは、形としてお芝居を認めてもらえたことがなくて。たまに「賞なんて意味ない」という方もいらっしゃいますが、私にとっては意味があるような気がするので、いつか人生のどこかで、そういうことがあったらいいなと思いながら、演劇も頑張ります、はい(笑)。
――STORY世代の安達さん。最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
いつも思うのは、やっぱりなんでも頑張りたいじゃないですか。もちろん仕事も、できれば完璧に頑張りたいし、子育ても本当は、体にいいものばっかり毎食ちゃんと作って食べさせるような、いいお母さんになってみたい。そうならなければいけないような気持ちも、どこかにありますし。でも実際には、そんなことを言っていられない。とてもじゃないけど、できない現実があって。
――時間にも体力にも限りがあるので、できることは自ずと限られますよね。
だから私は、できなくてもいい自分を認めてあげるというか、「いいんだよ。もう頑張ってるんだから、ちょっと手を抜いても大丈夫」って、自分に言い聞かせながら生活しているんです。心がパンパンにならないように、切羽詰まってしまわないように、ちょっとガス抜きをする、力を抜くというんでしょうか。「一食ぐらいファストフードにしても全然大丈夫だから」っていう気持ちで、子育てしています。自分で自分を甘やかしてしまうのは怖いけど、「大丈夫だよ」っていう気持ちを持ってやっていく方が、自分が苦しくならずに済むのかな、楽しくやれるのかなって思います。
――子どものほうもきっと、苦しくなるほど頑張っているお母さんを見るのは嫌だろうなと思います。
そうですよね、きっと。私は、たとえば掃除をしている時も、「ママって、働き者じゃない?」って自分から言ったりするんです(笑)。そうすると子どもは「本当にそう思うよ」「ママ、偉い」とか言ってくれるので、掃除も楽しくやれます(笑)。子どもは、そう言わないとマズいと思っているのかもしれないけど(笑)、時々そうやって自分から頑張りの押し売りをするのも、いいんじゃないかなと思います(笑)。
KERA CROSS 第七弾『シャープさんフラットさん』
1990年代初頭、あるトラブルをきっかけにサナトリウムに逃げ込んだ劇作家の辻煙。恋人の美果や、サナトリウムで暮らす元芸人たち、父の幻影とのやり取りを通して、悲劇を喜劇に変換して生きてきた煙の半生が浮かび上がる……。
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出:マギー
出演:柄本時生 高梨臨 安達祐実 田中俊介 トリンドル玲奈/森準人 岩男海史 白石優愛 土屋翔 小野晴子/松永玲子 マキタスポーツ 堀部圭亮
2026年6月19日~7月5日/紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA 名古屋、大阪公演あり
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/keracross_7
取材・文/岡﨑 香 ヘア・メーク/mayumi shiraishi スタイリスト/船橋翔大(DRAGONFRUIT) 撮影/古水 良
チェックブルゾン\16,500、セットアップパンツ\14,300、タイ付きブラウス\13,200 (3点ともエルチェレ)、ピアス\5,500(オイル/ジョワイユ)
問い合わせ
エルチェレ https://elchele.co.jp
ジョワイユ 03-4361-4464































