STORY世代がまだ思春期だった頃、『MEN’S NON-NO』や『an・an』、『smart』に『CHECK MATE』と
数々のファッション誌の表紙を飾り、さらには私たちの心を震わせていた井浦 新さん。
そんな井浦さんも、50代を迎え思春期の二人のお子さんを持つパパに。
俳優として唯一無二の存在感を放つ井浦さんが、今回の映画『トロフィー』で演じたのは、
まさにプライベートともリンクする、思春期の娘を持つ父親の役どころ。
そこで、“父親”目線から見た「家族」の存在について、たっぷり語っていただきました!
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AI時代の今、手紙で届いた監督からのオファー
今回の映画は、孫明雅監督から台本と共に作品への想いと参加へのお誘いの
お手紙をいただいたところから始まりました。
手紙は、LINEやメールと違って、まず便箋や封筒を選び、ペンの色も選んで、
それで文章をしたためる。
今の時代、そんなふうに“思い”そのものを受けることは、稀ですしありがたいことです。
だから、手紙の内容は自身の胸だけに大事に留めておきたいのですが、
そこには、「こういうふうに演じて欲しい」といった言葉は一切なく、
なぜ僕にこの役をオファーしたのか、といったことを孫監督なりの言葉で綴ったメッセージがありました。
思い返すと、孫監督の師匠である是枝裕和監督もご一緒するたびに、毎回手紙をくださっていたんです。
是枝監督や孫監督のように、時間と労力を惜しむことなく、“手紙”で思いを伝えようとする人は、
その行為が全部映画への想いへと繋がっているのだと思います。
映画って、結局のところ描こうとするものはすべて「人間」なんです。
それが、監督や作品によって家族であったり、友達同士だったり、恋人だったり、
その人間の機微を描いています。
だから、手紙を書いてくださるという行為自体が、人と向き合おうとすることに繋がるのだと
僕は、思うんです。
真正面から人間を描こうとする、一つの姿勢を表明してくださっているような気がして、
手紙を読み終えた後は、「自分が出来る役割を果たしたい」そんな気持ちが生まれていました。
僕が演じたサンジュは、同じ思春期の父として“反面教師”
今回、僕が演じたのは、思春期の娘を持ちながら資金繰りの厳しい朝鮮学校の校長をするサンジュ。
在日朝鮮人の家族を描く物語ではありますが、そこに起こるのは、
どこの家族にも起こる「あるある!」という問題。
K-POP好きの娘が、友達と一緒に推しのライブへ行くために、
お父さんが大事にしていたものを売ってしまう――。
それが、物語の中では母国からもらった勲章だったけれど、隣の家ではこっそり千円札、5千円札を
親の財布から抜いたことで、家族が揺れているかもしれない。
そんなふうに、本当に特別じゃないどこにでもある親子のテーマなんです。
そんな中で、僕が演じるサンジュときたら、朝鮮舞踊の大会に出るために必死で練習する娘に対し、
「だから主役になれないんだ」と言い放つんです。
頭に浮かぶ一言を、胸に飲み込むことなく、ズケズケと言ってしまう。
決して、悪意があるわけではなくて、ただただ娘に対しての真っすぐな思いから、
ああいう言葉が止まらないんです。
ただ、言ってみれば、デリカシーがない(笑)。
私も娘を持つ父として、「こういう言い方をされたら絶対イヤだろうな」と、
サンジュを演じることで、反面教師になりました。
ありがたいことに、娘とはイイ関係でいられているので、井浦家では絶対に起きえないことを
起こしていって、「こうすると、こうなっちゃうのか……」という一つの実験ができました(笑)。
でも、世の中のお父さんがみんなデリカシーある人だらけだったら、なんだか気持ち悪くないですか?
お父さん側の目線で言うと、「家族だから」というその特別な距離感ゆえに、
あんないらない一言だって言えるんです。
よその家庭の子には決して言えないし、学校の先生という立場でも言える言葉ではありませんから。
家族からしてみたら、「だから、お父さんのことイヤなんだよ!」ってなるかもしれないのですが、
お父さんにとっては、“いらない一言”が言えてしまう「家族」という場所が救いだったりすんです。
そう、お父さんにとって、家族は「唯一無二の聖域」なんです。
でも、「家族だからイイや」と思っているお父さんのその部分こそが、
妻や思春期娘との摩擦になってしまう……。
こんなお父さんも、昭和では許されたかもしれないけれど、
令和の今は「家族だから」じゃ許されない時代。
でも、一つ一つの家族が、今の時代にスマートに合わせていったとしたら、
何だかちょっと、「家族」というものが味気なくなっちゃう気がしています。
今回、井浦さんが出演した映画は……
『トロフィー』
監督・脚本: 孫 明雅
出演:恒那 / ちすん 笠松将 / 市川実和⼦
/ 井浦新
在日コリアンのルーツを持つ14歳の少女・ソヒ(恒那)は、朝鮮学校に通い、部活で朝鮮舞踊に打ち込む日々を送っている。ある日、日本学校との交流会で日本人の未来(梨里花)とK-POP好きという共通点で仲良くなり、ソヒは少しずつ外の世界と繋がりを持っていく。そんな中、ふたりは推しのK-POPアイドルのライブチケット代を稼ぐために、ソヒの家にある不用品をフリマサイトで売ることに。そこで意外にも高値で売れたのは、朝鮮学校の校長である父・サンジュ(井浦新)が持っていた一枚の北朝鮮のCDだった。それに味をしめたソヒたちは、サンジュが祖国・北朝鮮から授与された”勲章”までも売ってしまう……。7月10日(金) より テアトル新宿 ほか順次公開
ジャケット¥59,400、パンツ¥49,500/marka、シャツ¥37,400/MARKAWARE(PARKING
TEL:03-6412-8217)、その他スタイリスト私物
撮影/田頭拓人 ヘアメーク/山口恵理子 スタイリスト/上野健太郎
取材・構成/河合由樹



















