城田 優さんが演出・主演を務めるミュージカル『カーテンズ』が幕を開けます。舞台は1959年のボストンの劇場、城田さんが演じるのは、新作ミュージカルのトライアウト初日に、評判の悪い主演女優が何者かに殺害され、劇場に駆けつける警部補フランク・チョーフィー。ミュージカルオタクの彼は、捜査にあたるうちに舞台の内容に首を突っ込み始め……というサスペンスコメディです。

「演出の仕事も大切にやっていきたいと思っていたところに、『カーテンズ』を演出しませんか? というお話をいただいて、ぜひ挑戦したいですとお返事したんです。そしたら、主演もお願いできませんか? と言われまして」 そう話す城田さんが舞台作品の演出に興味を持ったきっかけは、’11年に主演したミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。演出家の小池修 一郎さんから新人メンバーの世話を頼まれ、ちょっとしたアドバイスで表現がぐんとよくなったり、俳優として成長していく様を見て、楽しさを覚えたといいます。’16年に演出家デビューし、 ’19年にはミュージカル『ファントム』の演出・主演を務め、好評を博しました。

「でも今回は『ファントム』の時と違って、主演がWキャストじゃないんです。稽古をどう進めるんだろう? って、今も思っています(笑)。そこさえクリアになれば、意外と楽しくできそうな気がしますね。犯人を推理しながら、ミュージカルの舞台裏を見ていくという面白い作品。キャスティングや台本の見直しにも参加させてもらいましたし、僕が不安がっていたら作品自体がぐらついてしまうので、『ファントム』の時と同じように弱音を封印して、とてつもなく強気な感じで稽古に臨むつもりです。家ではその分、動物や甥っ子の動画を見て癒される時間が長くなりそうですけど(笑)」

というのも、実は城田さんは、「舞台に立つ前に、成功させなければというプレッシャーでものすごく緊張してしまう」タイプ。 11月に山崎育三郎さん、尾上松也さんとのユニットでプロデュース公演を行った際も、緊張のあまり本番直前に高熱を出してしまったのだそう。「意見もはっきり言うので、強い人間だと思われがちですが、意外と繊細というか、気が小さくて。いつも周りの励ましに支えてもらっている感じです。育三郎と松也は、僕に〝大丈夫だよ〞って言い飽きていると思います(苦笑)」

それでいて、ひとたび舞台に立てば、圧倒的な存在感と表現力で観る者を魅了する城田さん。「毎回、倒れるかと思うくらいの熱量で演じてしまうんです。確実に寿命を縮めていると思う」と話す彼は、仕事のペース自体を見直そうと、’20年秋に事務所から独立しました。「体が資本ですし、演出や育成みたいなことにも力を入れていきたいと思いまして。とか言いながら、気がつくとパンパンなスケジュールになっていたりするんですが(笑)、自分がやりたいことを、一緒にやりたい人と追求して、あいつカッコいいな、見習いたいな、と思われるような存在になっていきたいですね。特に舞台に関しては、そういう思いが強いです」

そんな城田さんが目指すのは、歌とダンスと芝居が違和感なく融合し、それぞれのキャラクターがしっかりと生きているミュージカル。「これだけ偉そうなことを言ったからには、実践しないとね」と笑う頼もしき36歳のパッション、ぜひ劇場で受け止めたいものです!

撮影/横山翔平(t.cube)　 ヘア・メーク/Emiy　スタイリスト/橘 昌吾　取材/岡﨑 香 ※情報は2022年3月号掲載時のものです。

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