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東日本大震災を機に人生が変わった女性芸人が今思うことは

東日本大震災から12年。今も、被災地の復興・新しい地域づくりが進められています。街並みが変わっただけでなく、震災は、多くの人の人生を変える転換点にもなりました。今回は、20代、30代での被災経験をきっかけに、一歩を踏み出した方々のお話をうかがいました。

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<左>イズミさん 40歳・埼玉県在住 お笑いコンビ〈123☆45〉

故郷の応援のために始めた
〝なまりネタ〟にいつの間にか
自分が助けられているような気がします

岩手県野田村出身のイズミさんは、大学進学を機に上京。芸人を目指して東京で活動していました。

東日本大震災が起こったのは「劇場に向かう支度をしていたとき。テレビで、大変なことになっているのを見てびっくりして」。なんとかバスを乗り継いで野田村に帰り着いたのは5日後でした。「中心地から見えなかった海が、商店が全部なぎ倒されたので見えました。すべてがぺちゃんこで、座布団、着物、車、学習ドリルなどがごちゃ混ぜになってまっ平に広がってました」。

実家は高台にあり、家族も無事だったので、イズミさんは、がれき撤去や炊き出しのボランティアに毎日出かけました。「すると、その先々で、被災した方々が『あ、テレビに出ている子だ。頑張れよ』と声をかけてくださるんです。こんな状況ではお笑いは続けられない、地元に帰ろうと思っていたのですが、『芸人として活躍すれば野田村の人たちに喜んでもらえる』と思ったんです。それからは、考え方が180度変わりました。ただ目立ちたい、人気者になりたいが、〝結果を出したい〟と思うようになり、先輩に頭を下げ、何がうけるのか、なりふり構わず教えてもらいました」。

お客さん目線を意識すると、大会の予選を突破するなど、次第に結果がついてきました。ところが、無理をしすぎ、心身に不調をきたして休養を余儀なくされ、やむなくコンビを解散。実家に戻ることに。「そこで、震災直後は笑顔で頑張っていたけれど、しばらくしてからダメージを受けていたことに気づいたという人がたくさんいると知りました」。イズミさんもその一人だったのかもしれません。

ようやく体調が回復した4年後、コンビを再結成し、女芸人No.1決定戦「THE W」に挑戦し、活動を再開しました。「今も、震災のことを思い出すと涙が出ますが、普段は、驚くほど忘れています。これって、いい意味で乗り越えられたということなのかも。

今も『野田村』を応援したいし宣伝したい。でも、まずは自分の幸せのために、誠実に目の前の仕事に取り組みたい。私たちの十八番は『なまりネタ』です。今は、故郷を応援するというより、逆に故郷に助けられているって感じているんです」。

  • ’09年に123☆45を結成するも’15年に解散。’19年に再結成し、同年女芸人No.1決定戦「THE W」で決勝進出。’20年お笑いコンビ「ハッピーエンド」のゆずき氏と結婚し、夫婦ユニット「マウンテンブック」としても活動。
  • 実家がある岩手県野田村が被災。
  • 津波により甚大な被害を受けましたが、漁業も復活し、住宅、商店の建て替えも進みました。「震災は辛かったけれど、いいこともある。明るい未来に向かって歩んでいきたい」

「東北人は我慢強いと言われますが、私も、我慢しすぎないよう気を付けるように。相方を大切に丁寧に仕事に取り組んでいきたいです」。

◯ 先輩芸人のサンドウィッチマンから…… 「震災で被害を受けた地元を盛り上げるんだ!」といつも話してました。同じ東北出身の同志として、ぜひとも頑張ってほしい。「野田の塩」に負けない全国区になれるように頑張れー‼
――伊達みきお

ちょいちょい連絡をくれる今でもかわいい後輩です。コロナ禍にリモートでネタ合わせして「THE W」の決勝に進出。結婚しても頑張っているのが非常に嬉しかったです。故郷が好きで大切にしながら活動しているところが同じ東北出身の人間としては応援したくなります!主婦・田舎者というのを123☆45の武器にして、これからも暴れてほしい! また共演できるのを楽しみにしてま~す!
――富澤たけし
<編集後記>忘れちゃいけないけれど忘れることも大切なんだな 震災関連企画を通じて、10〜20代で被災した方にたくさん出会いました。「自分たちが頑張ってもう一度元気にする」と故郷を背負う姿を見て、すごいな、応援したいと思う一方、「自由にしていいんだよ」と伝えたい気持ちも。「忘れていられることは、乗り越えたこと」というイズミさんの言葉が心に沁みました(ライター 秋元恵美)

取材/秋元恵美 ※情報は2023年4月号掲載時のものです。

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