• TOP
  • Lifestyle
  • 【智弁和歌山】甲子園優勝を支えた寮母が、夫である監督に「唯一お願いしたこと」才能を伸ばす関わり方とは
LifestyleJunior STORY

【智弁和歌山】甲子園優勝を支えた寮母が、夫である監督に「唯一お願いしたこと」才能を伸ばす関わり方とは

第108回全国高校野球選手権大会決勝戦を4-3で競り勝ち、5年ぶり4度目の優勝に輝いた智弁和歌山(和歌山)。日本一となった選手たちを陰で支えているのが、中谷仁監督の妻であり、野球部寮「智翔館」の寮母を務める中谷千保子さん(42歳)です。毎日、朝食・お弁当(昼食)・補食・夕食・夜食の5食の準備をし、朝食と夕食時にはできる限り選手たちと顔を合わせて会話を重ね、心の機微を読み取りつつメンタル面を支えています。

【INDEX】 ★ 決勝戦逆転ビハインドの8回裏 ベンチから聞こえた「大丈夫だから」で勝利を確信
★ 監督から頼まれ、選手のメンタルサポートも担う寮母に
★ 自分の意思と思考力を持って自走できる大人になってほしい
★ 初戦前に監督に唯一お願いしたのは 『ポジティブな言葉だけで子どもたちを引っ張って』

決勝戦逆転ビハインドの8回裏 ベンチから聞こえた「大丈夫だから」で勝利を確信

「決勝戦は子どもたちの会話も聞こえるベンチ上で観戦させていただきました。8回表に逆転された時、不思議なくらいメンバー全員が落ち着いて見えました。そしてベンチから聞こえてきたのは『大丈夫だから!』とお互い励まし合う子どもたちの声でした。8回裏の攻撃で最初のスクイズは失敗したのですが、そのときも『お前だったらできる!』という声が飛び交い、メンタル的な目標としていた“勝利を決めた上で走っていく試合運び”ができていると感じ、監督の求めていた形のチームに仕上がったと実感。逆転されている中でも、勝利を確信し続けることができました。

今年の優勝チームは、スター選手がいるような話題性のあるチームではありません。そんなチームに、監督である夫がスローガンに掲げたのが『全員の力で』でした。

『誰か』ではなく『全員が』に徹した結果が今回の優勝に繋がったと感じています。『誰か』だと一人が倒れてしまうと、チーム全体が沈んでしまうんですね。『全員が』だと君がダメなら僕が頑張る、というポジティブな姿勢でチームを盛り上げながら進んでいける。逆転された8回表にベンチのムードが沈むことなく、自分たちの力を信じて勝利へのモチベーションを保ち試合を続けることができたのも常に『全員の力で』頑張ってきた証、その後見事に逆転勝利を収めてくれました。」

優勝旗を手に監督である夫・お子さんと記念撮影、2026年8月22日撮影。

監督から頼まれ、選手のメンタルサポートも担う寮母に

中谷千保子さんが寮母となったのは、今から7年前の2019年。「新しく野球部寮を作るから、寮母となって子どもたちのメンタル面での支柱となって欲しい」という監督からのリクエストでした。

「それ以前から、日常で夫と話す会話は子どもたちのことばかりでした。野球だけでなくスポーツ全般なのかもしれませんが、基本男性社会で女性が入りづらい雰囲気があるんですね。でも主人は違って、グラウンドと寮で子どもたちの精神的なバランスを取るためにも関わって欲しいと請われ、寮母となりました。

子どもたちと毎日顔を合わせて「今日はどうだった?」と声をかけ続けていると、「あ、この子何か悩んでいることがあるな、壁にぶつかっているな」というタイミングが不思議とわかってくるんです。子どもたちは思春期でもあるので、こんなときは直接聞き出すような声掛けよりも、悩みを引き出せるようなアプローチを心がけています。

踏み込みすぎず、伝えたいことはさらっと明るく端的にが基本です。それが理解されているかどうかを私は重要視していなくて、言葉として毎日伝え続けるようにしています。その言葉がいつかどこかのタイミングで子どもの心に残って、変化するきっかけになればいいと思っています。高校生ともなると、彼らは彼らの世界が出来上がっているので、大人である自分が上から目線で「こうしたほうがいい」などと意見を押し付けないことがポイント。せいぜいさらっと「こうだと思うよ〜」というくらいに留めておきます。

でも、時には「このままじゃ放っておいたらダメだ」という状況も出てきます。そんな時には、逆にとことん話し合います。じゃあそのタイミングをどうやって見極めるのか、それは日々の子どもとの距離感です。ベッタリ入りすぎると分かりにくいのですが、少し俯瞰で見ているようにすると「ここは詰めておかないと」というタイミングが見えてくるんです。単純に言うと、目を見て話をしない、答えを伝えてこない、本質になるとはぐらかす、表情、声の質などです。
そんな時は「なんで、こういう行動をしたの?」「なんで、こんな受け答えをしたの?」と“なんで攻撃”。

子どもからすれば、悩んでいでる時って本心は話をしたいはずなんです。反面「話をしたら、うるさい事言われるから言いたくない」と言う気持ちもあるんですよね。実の親子関係と寮母と子どもの関係は異なる部分もありますが、普段は入り込みに行かない私が“なんで攻撃”に出た時は、子どもはきちんと向き合って話をしてくれます。じっくりと時間をかけて話をしながら、悩みを引き出し、解決方法を見い出し、目標とすべきゴールを定め、そのために今すべきことをアドバイスするようにしています。」

決勝戦後、宿舎に帰ってきた選手たちと

自分の意思と思考力を持って自走できる大人になってほしい

「子どもって何かの瞬間に、良い方向にパッと変わるなんて都合のいいことは起きないです。変化を生み出すのは、小さな毎日毎日の積み重ねだけ。野球部員だったら、毎日スケジュールが組まれているから時間になったら遅れないようにただグランドに行くだけという意識じゃダメなんです。

私は日々子どもたちに『今日は何を思ってグランドに行くの?』と問いかけるようにしています。私の感覚だと『今日は昨日できなかったことをできるようにしよう、昨日怒られた部分を今日は怒られないようにやってみよう』とかそんな意識を持ってグランドに向かうのが当然だと思うんです。でも、今の子どもって『何で、ってなんですか?』とキョトンとする子どもが多いのが現実。

智弁和歌山野球部員でも同じです。言われたことはちゃんとやれるけれど、自分の意思と考える力を持って、自走することができない。その意識を変えて、自分で自走できるスイッチを入れることが私の最大のテーマであり、使命だと思っています。だから子どもたちには、毎日ひとりづつタイミングを見計らって『今日は何を思って、グランドに行くの?』と声掛けが日課。それがピンとこない子どもには『じゃあまずは、自分の“何”を探して』と意識変革のためのアドバイスをします。

そのやり取りの中で例えば、『なんか上手く行かないんです』と言う言葉が導き出せたら、上手く行かないのは“なんか”じゃなくて理由が必ずあるので、その原因や解決方法を一緒に探す日々を重ねています。これを続けることで少しづつ何かが変わっていくんです。

『コツコツが勝つコツや
これが私の口癖。

日々の気付きの改善をこのコツコツと続けること、今回の優勝もコツコツが大きく爆発した結果なんです。

チーム中谷智辯の皆さんと

初戦前に監督に唯一お願いしたのは 『ポジティブな言葉だけで子どもたちを引っ張って』

「私は毎日のコツコツとした声かけをすることで子どもたちの意識を変えていくこと、種まきをしていますが、一方で監督は選手の意識を一瞬にして変える花開かせる魔法の言葉の力を持っています。選手にとって監督はそれくらい絶対的な存在です。監督の一言は私が300日声かけをするのと同じくらい、選手に響きます。

今回の夏の大会に挑むにあたって、私から監督に唯一お願いしたことは『思っていない言葉は絶対に口に出さないでほしい』。

グラウンドでは本心は違っていても、監督が叱咤激励して選手の反骨心を刺激するために『お前なんてダメ』『そんなんじゃいらないよ』って使われる言葉で、つい口走ってしまうことってあるんですね。でも、今の子どもたちのなかで、“反骨精神”が生まれる子って少ない。『ダメ』って言われると、心の中でダメという言葉のイメージだけが先行して残って心が潰れてしまうことも。

だから監督にも『お前は高いレベルまで到達できる可能性のある選手だから、引き上げたい。そのためには今はここが課題だから変えてみよう』など、具体的な着地点を示してそのための道筋を示してあげて欲しいとお願いしました。一回心が潰れると、元の状態まで戻してあげるのにものすごく労力と時間がかかる。

高校野球は高校入学から夏の大会まで2年半。県大会から甲子園までは3ヶ月、この短期間でメンタルをリカバリーさせるのはなかなか難しいんです。

理想は監督を含む周囲の大人が子どもの心を上げる指導やサポートをして、最後は自分たちの力で花開くそんなスタイルのチーム。だから、『ポジティブな言葉だけを使って、チームを作って盛り上げてほしい、今の子どもたちの才能を引き伸ばして強くするためにはこれがいいと思う』寮母となって7年、子ども達のメンタルに寄り添ってきた私から監督へのお願いでした。

監督は思考に柔軟性があり、何よりも子ども達のことを優先して考えているので「そう言う視点はなかったな、ちほちゃん(千保子さん)が言うのならやってみよう」と受け入れてくれました。

私の言葉を受け入れてくれた監督には感謝すると共に、これからもずっと夫婦二人三脚で人生を歩んでいきたい。この先にはきっと私たちに夫婦にしか見ることができないミライがあると信じています。

続きも近日中に公開予定….

人生をさらにアップデートさせるために
甲子園優勝の翌日に子どもたちにしたことは?
中谷千保子さんが夫婦で目指す、この先の目標。

取材・文/安西繁美 構成/玉榮日菜子

おすすめ記事はこちら

RELATED TOPICS

FEATURE

Aug
24
今日の40代おしゃれコーデ

40代の【大人カジュアル】をブラッシュアップする話題の韓国ブランドって?

40代の【大人カジュアル】をブラッシュアップする話題の韓国ブランドって?

会員限定PRESENT

雑誌購入限定プレゼント

大人にハマる「韓国ブランドアイテム」を 計6名様にプレゼント

会員プレゼント

【宿泊券プレゼント】美ら海のパノラマビューに感動!「コートヤード・バイ・マリオット 沖縄リゾート」

会員プレゼント

【BLISSTIA SUITES&RESORT 沖縄恩納村】の1泊ペア宿泊券を1名様にプレゼント!

PICK UP