子育てが一段落して、ふと気づけば、次に待っているのは“相続”かも…? 介護も相続も、足音を立てずに近づいてくるもの。気づいた時にはもう遅かった、とならないために――今年、一歩踏み出してみませんか?
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★ “いつか”じゃなくて“いま”でしょ! 考えるべき「相続問題」基本のキ
★ いざという時にあわてないために…いまから準備しておきたい4つのこと
★ 【編集後記】結局こう思った!
【他人事ではありません!】笑えるけど笑えない、相続あるあるエピソード集
揉めるのは、財産持ちの家だけじゃない。読者から届いたのは、“うちも他人事じゃない”と、笑いながらも思わず背筋が伸びてしまうエピソードばかり。
“いつか”じゃなくて“いま”でしょ! 考えるべき「相続問題」基本のキ
子どもの成長とともに、ふと親の老いが気になり始める読者も少なくないはず。自身の実家じまいと数多くの家庭の取材を重ねた大井さんに、これから始める人への「基本のキ」を聞きました。
・冷蔵庫に賞味期限切れの食材がないか
・約束を忘れがちではないか
・怪しい訪問販売などに応じていないか
・以前より思い込みが強くなっていないか
上の項目に1つでも当てはまったら、黄色信号かもしれません。“老い”は親本人より先に、周囲が気づくもの。責めるように聞くのではなく、さりげなく声をかけることから始めてみて。歩く様子が以前と違う、なども気になるサインとして見過ごさないで。
「亡くなったら」の話じゃない。相続は親が元気なうちにする話
実家の片づけを手伝ったり、多くのご家庭を取材してきて実感するのは、相続問題は「まだ先」と思っているうちに、もうすぐそこまで来ているということ。子育てが落ち着いた頃、親はもう70~80代。元気に見えても、体調や判断力は少しずつ変化していきます。それなのに、多くの人は「うちはまだ大丈夫」と、話すきっかけを先延ばしにしてしまう。私自身、実家じまいを通じて、親の財産や保険など早めに把握できたことは大きな安心につながりました。一方で取材では、「もっと早く聞いておけば良かった」という声も多く耳にします。
切り出し方ひとつで親の反応は変わります
とはいえ、いきなり「財産」や「相続」の話をされて、身構えてしまう親も少なくありません。「死んだ後の話をするなんて」と、反発されることもあるでしょう。だからこそ、まずはお金の話ではなく、親のこれまでの人生や思い出話から始めてみてください。その流れで将来どうしたいかを聞いてみるとよいでしょう。大切なのは、子どもがどうしたいかではなく、親自身がどうしたいか。どこで暮らしたいか、もし介護が必要になったらどんな希望があるのか、その意向をうっすらとでも聞いておくことが大切。帰省のたびに全部聞いてしまおうとせず、「今日はこれだけ」と一つに絞るのもコツ。きょうだいがいるなら、LINEグループなどで日常的に親の様子を共有しておくと、いざという時の温度差が減ります。ゆくゆく介護が始まったときに、きょうだいの誰かひとりに負担が偏らないよう、早いうちから親の様子や、それぞれができることを共有しておくことも大切です。また、相続が始まったときは、それぞれの家庭の事情や配偶者の意見が入ることで話が複雑になることもあるため、まずは相続人であるきょうだい同士で話し合える関係をつくっておくと安心です。「相続」とひとことで言っても大きく漠然としています。まずは「親・きょうだいとのコミュニケーション」を大事にしながら、「財産の手がかりの把握」「実家の行く末」などを少しずつ話しておくとよいでしょう。必要に応じて、遺言書の作成などを専門家に相談してみてもいいかもしれません。また、相続とは別に、「お墓のこと」も家族で考えておきたいテーマのひとつだと思います。
②親の全財産を把握すること
③実家じまいとはどういうことか
④墓じまいとはどういうことか
教えてくれたのは

いざという時にあわてないために…いまから準備しておきたい4つのこと
揉めてからでは遅いもの。親が元気なうちに知っておきたい、コミュニケーション・財産・実家・お墓の4つ。専門家への取材から、今日からできる備えが見えた!
①親・きょうだいとのコミュニケーション、上手なとり方は?
▶︎遺言の話題より先に少しずつでも話せる関係をつくること
相続のトラブルは、財産の多さだけで起きるわけではありません。下の表が示す通り、親とどれだけ話せていたかも、その後を左右するようです。家族仲が良いから揉めないは誤解、毎日連絡をとっていた家庭でも7.1%はトラブル経験済み。逆に「連絡はとっていなかった」人の2割強がトラブルを経験していて、実に約5人に1人にのぼります。親と全く連絡をとらなかったり、遺言について話す機会が少ないほど、相続トラブルが発生しやすい可能性あり。連絡の手段は、電話でも家族LINEグループでも構いません。ただ、年末年始やお盆に顔を合わせる機会があると、親の方から自然に話が出てくることも多いです。少しずつでも話し合いができるのが、親にも子にもいいのではないでしょうか。また、関係性の悪さそのものが争いの火種になることも。遺留分の主張や、預金の使い込み疑惑といった背景には、きょうだい間の関係性が影響しがち。頻度以上に「何を話すか」が重要。
【親との連絡頻度別相続トラブル発生率】
親と連絡をとっていなかった人の5人に1人が相続で揉めていることが判明。逆に毎日連絡していた家庭でも、7.1%はトラブルに。頻度が全てではなく、大切なのは「何を話すか」です。
教えてくれたのは

②親の全財産を把握すること
▶︎財産把握は親への詰問ではなく将来の笑顔のために
親の財産把握といっても、最初から金額まで完璧に知る必要はありません。大切なのは「どこの銀行に預けているか」「保険証券はどこにあるか」という手がかりだけ。「私も保険を見直したんだけど」というふうに、自分の話を入口にすると、親の防衛心も和らぎます。見落としがちなのが、保険や証券、デジタル資産。保険は、亡くなったことを保険会社が把握しないと、ずっと宙に浮いてしまいます。証券口座も、子どもが知らなければわからなくなりますし、ネットで契約した暗号資産等も同様。海外に口座がある場合は、解約だけで数年かかることも。一旦終わったと思った後に新しい口座が見つかると、遺産分割協議はやり直しになってしまいます。揉めていた相続なら、それがまた火種になりかねません。財産のリストがあれば、相続税がどれくらいかかるかも事前に確認できます。申告期限は10カ月。遺産分割が終わっていなくても、税金の支払いは待ってくれません。概算がわかれば、資金の準備もでき安心。
保険:加入している保険会社名、保険証券の置き場所
株・投資:証券会社名、ネット証券の利用有無
不動産:実家以外の土地・遠方の土地・賃貸物件・山林などの有無
負債:借入金・ローン・保証債務の有無
デジタル関係:取引のある銀行名、通帳やキャッシュカードの保管場所
全部を完璧に把握しなくていい。大切なのは「どこを見ればわかるか」という手がかりだけ。それだけで、万が一の時の混乱はまるで違ってきます。まずは簡単なリスト作成から!
教えてくれたのは

③実家じまいとはどういうことか
▶︎分けにくく分けたくないから、家は揉める種になる
現金ならば、例えば相続人3人で平等に分けられますが、家は物理的には分けられません。相続で揉めるのは、ほぼ不動産。分けにくく、分けたくない感情も絡み、揉めるきっかけに。まず、親がずっと住み続けたいのか、1人になったら誰が相続するのか、売っていいのか。老後の話の流れの中で聞いておくといいですね。「うちの家、どうするの?」ではなく、まず「お父さん、お母さんはどうしたいの?」と聞いてほしいんです。相続の主役は、あくまで親御さん。また「きょうだいで半分ずつ」という共有名義も要注意。意見が割れれば売ることも使うこともできず、配偶者や子どもまで巻き込んでこじれます。不動産は単独名義が原則、共有は売って分けるときだけ、と心得てください。相続してから子どもが売るより、親自身が元気なうちに売る方が税金面で得になることもありますが、正解はケースバイケース。親の意向やきょうだい構成によっても変わるので、まずは話し合うことから始めてください。
2:荷物の断捨離(子どもがサポートしながら少しずつ)
3:不動産会社に査定依頼(一括査定サービスも活用可)
4:売却・現金化(路線価は時価の約8割。実際はそれより高いことも)
5:残った現金をきょうだい間で分割
これは、子どもなどが親世帯と同居していない実家を売る場合の一例です。残す・住み替えるなど、家の数だけやり方があります。まずは親とのなにげない会話から始めてみて。
教えてくれたのは

④墓じまいとはどういうことか
▶︎お墓は「祭祀財産」、相続財産とは別扱い
お墓や仏壇、位牌は「祭祀財産」と呼ばれ、現金や不動産などの相続財産とは法的に別扱いです。遺産分割の話し合いとは切り離して考える必要があります。お墓の土地は、永代使用権という権利で借りているだけ。跡継ぎがいる限り使えますが、いなくなったら更地にして返してね、というルールになっています。墓じまいは、確認の先にあるもの。まず親が先祖の墓を継いでいて、親がその墓に入らず、子どもが継げない場合は、親戚に継いでもらえないか打診するのが筋。「うちは子どもが継げないから、代わりに頼めない?」というふうに、親御さん自身が親戚に聞いてくれた方が、角が立ちにくいもの。親が元気なうちに、どうするか考えてもらった方がベター。関わる全員が無理と言って初めて、墓じまいが選択肢に上がります。この確認を親の代でしておかないと、子どもが遠縁の親戚やお寺との交渉まで背負うことになり大変です。墓じまいをする場合は、まずはお寺に申し出て、承諾を得てから進めることが大切です。
2:遺骨の移動先から「受け入れ証明書」をもらう
3:現在のお墓がある市区町村から「改葬許可申請書」を入手
4:お寺から「埋蔵証明書」をもらう
5:3点を揃えて3の行政に提出→「改葬許可証」を取得
6:石材店に遺骨の取り出し・清浄を依頼(魂抜きはお寺に先に行ってもらう)
7:移動先に納骨(魂入れ・納骨法要)
8:古いお墓を石材店が更地に戻して返還
これは、親戚の誰も継げないとなって初めて、墓じまいを決めた後のフロー。費用はお寺によってピンキリなので、お付き合いの長い親の代でやっておいてもらうのが安心です。
教えてくれたのは

【編集後記】結局こう思った!

撮影/吉澤健太 イラスト/Ai Iuchi、いらすとや 取材・文/羽生田由香 デザイン/秋穂佳野 構成/中村 亮
※情報は2026年9月号掲載時のものです。
















