変わらぬ透明感と品のある自然体で、同性からも絶大な支持を得ている石田ゆり子さん。その主演作『連続ドラマW マイ・スイート・ホーム』(全6話)の放送・配信が10月末にスタートしました。脚本は、ドラマ『最後から二番目の恋』シリーズなどで人気の岡田惠和さん。深い友情で結ばれ、それぞれのパートナーも交えて定期的に集っていた3人の女性が、疎遠になっていたもう一人の友人の死をきっかけに人生を見つめ直し、期間限定でお互いのパートナーをシャッフルする……そんな愛しくもおかしいヒューマンドラマです。ふわりと柔らかな空気をまといながら「実はアスリート気質なんです」と笑うゆり子さんに、撮影時のエピソードや日々の生活、40代に感じたことなどを伺いました。
「自分だったらどうするかな」と考えたくなる面白さ
――岡田惠和さんが「WOWOWでどうしても書いてみたいものがある」と発案されたことで生まれた本作品。ゆり子さんは、以前から岡田さんが描かれる世界のファンだったそうですね。
はい。ユーモアがあって、登場人物もチャーミングで、大好きなんです。脚本を読み始めると止まらないんですよ。いわゆる説明ゼリフがなくて、日常の会話の中で物語が転がっていくのも魅力です。以前、NHKの『さよなら私』(2014年)というドラマでご一緒した時は、友達と心が入れ替わってしまうという、ちょっと不思議な物語を演じさせていただいたんですけれども、今回もまた「現実の世界ではあり得ないだろうな」と思いつつ、「自分だったらどうするかな」と考えたくなるような面白い物語を投げてくださって。さすが岡田さんだなと思いました。
――ゆり子さんの役名は上原春花。すでに子どもたちが独立し、夫(仲村トオルさん)と豊かで穏やかな生活を送る主婦をチャーミングに演じていらっしゃいます。
この物語は3組のカップル、正確に言えば8人の男女のアンサンブルで、それぞれ魅力的なキャラクターなんですけれども、春花はその中で唯一の専業主婦なんです。しかも、家事全般を完璧にこなすスーパー主婦で、周りが望むことを瞬時に察して、パッと出来てしまう人。でも、その器用さの裏には、プライドやコンプレックスがあって、本当の意味で人から求められたいとか、愛されたいと思っている。その繊細な部分を演じるのが、とても面白かったですね。
突拍子のない部分にはちょっと親近感があります
――春花を演じる上で大切になさったのは、どんなことでしょう?
やっぱり、専業主婦であることから生まれてくる繊細な感情ですね。彼女は彼女なりに、「恵まれた人生だからこそ、頑張らなきゃいけない」と思って生きてきた人で、コンプレックスだけじゃなく、自分は家のことをこれだけきちんとやっているという自負もある。学生時代から一緒にいる夏希(坂井真紀さん)や秋絵(中嶋朋子さん)に比べると、春花が一番フラットで掴みどころがないキャラクターだけに、そういう主婦としてのプライドや、女としてきちんとしなきゃと思っているところを、「彼女は今どういう思いでいるんだろう?」と考えながら、細やかに表現しなければと思いました。
――その一方で、酔っ払って「お互いのパートナーをシャッフルしよう」と提案する大胆な一面も持っているところがユニークです。
そうなんです。一番大人しそうに見えて、一番突拍子もない人物というキャラクター設定になっていて(笑)。でも実は、私にも同じようなところが少しあって、思いつきで「みんなで○○をやるよ」と提案して、人をわーっと集めたりするので、そういう部分ではちょっと親近感があります(笑)。突拍子もないことをするところは、子どもの頃からありましたね。
――たとえば、どんなことですか?
学校帰りにランドセルを背負って歩きながら、よく「この道をただただ真っすぐ歩いて行ったら、一体どこに着くんだろう?」と思っていました。それである日、このまま真っすぐ歩いて行ったら、向こうに見える山に辿り着くんじゃなかろうかと思って、歩いてみたことがあるんです。全然辿り着けないし、途中でドブに落ちそうになって、こりゃ無理だなと思って引き返しました(笑)。ちょっと変わった子だったかもしれないですね。というか、今もわりといつも「面白いことがしたい」と思ってますね(笑)。
いろいろ思うことはあるけど、私は私でいいやって思います
――魅力的なキャラクター満載の本作品ですが、ゆり子さんが最も惹かれる春花以外の登場人物は誰ですか?
私は、個人的にはわりと画家の秋絵に近いというか、秋絵寄りな人間だと思います。私も絵を描くのが好きで、自分の世界で自分の好きなことをやって、できれば自然の中で暮らしたいと思っているので、一番惹かれるというか、素直にわかるのは秋絵の生活ですね。でも、大手の家具屋さんの社長だったお父さんを引き継いで、いろんなプレッシャーの中で社長をやっている夏希も、いい人生だなと思います。家事は全然できないんだけれども、作家の旦那さん(椎名桔平さん)が家のことを全部やってくれるから、仕事に没頭できる。羨ましいなって(笑)。
――春花の大胆な提案の背景には、疎遠になったまま亡くなったもう一人の友人・冬美(富田靖子さん)が言っていた「一度でいいから自分じゃない人になりたい」という言葉があります。ゆり子さんご自身は、そう思ったことはありますか?
正直、私はそんなふうに思ったことがなくて。もちろん、「こうだったらいいな」とか「あの人のこういうところが羨ましいな」とか、いろいろ思うことはありますけれど、思ったところで、自分自身でしかいられないじゃないですか。仕事で常に自分じゃない誰かを演じているので、そういう願望が満たされているところがあるのかもしれません。でも基本的には、私は私でいいやって思いますね。結局、自分を捨てられないんですよ。もしかしたら「自分じゃない誰かになりたい」と思っている人も、実は自分の心を持ったまま、誰かの人生を歩みたいと思っているんじゃないですかね。
――そうかもしれません。昨今“人生100年時代”と言われますが、将来についてはどんな展望をお持ちですか?
人生100年だとしたら、私はまだ半分を越えたあたりにいることになるのかな。願わくは、とにかく健康で、自分の好きなことを自分の足で楽しめるまま、100歳になりたいですね。いつも面白がっていたいし、いくつになっても自分の人生を「まだまだこれからだ」と思っていたいです。そうじゃなかったら、せっかく長生きできても辛くなってしまう気がします。
【公演情報】
『連続ドラマW マイ・スイート・ホーム』(全6 話)
専業主婦の上原春花(石田ゆり子)は、深い友情で繋がった瀧山夏希(坂井真紀)、榊秋絵(中嶋朋子)と、それぞれのパートナーも交えながら定期的に集まりつつ、豊かで穏やかな生活を送っていた。そこへ疎遠になっていたもう一人の友・飯野冬美(富田靖子)の訃報が届き、3人は人生を見つめ直し、大胆な冒険に打って出る。それは、お互いのパートナーをシャッフルする2週間の“お試し生活”だった……。
脚本/岡田惠和 監督/萩原健太郎
出演/石田ゆり子 仲村トオル 中嶋朋子 三宅健 富田靖子 武田真治 坂井真紀 椎名桔平 ほか
WOWOW プライム・WOWOWオンデマンドにて放送・配信中(第1話無料放送・配信)
https://www.wowow.co.jp/drama/original/my-sweet-home/
取材・文/岡﨑 香 ヘアメーク/岡野瑞恵 撮影/土岡虎太郎

























