土に触れ、季節を感じながら作物の成長を見守る「農活」。そのプロセスにヒーリング効果があるとして、今、注目を集めています。そんな農活に魅了され、生き方が大きく変化した女性をクローズアップ。いかにして農業と出合い、本来の自分を取り戻していったか……。ストレス社会を生きる私たちにとって、大切なヒントがそこにありました。
加藤紀子さん タレント
53歳・東京都在住
未来のことを想像してワクワク
季節を巡ることが楽しくなる場所
季節を巡ることが楽しくなる場所
番組出演が農業を始めるきっかけだった加藤さん。「1年間ほんの少しかじっただけ。ここで終わりたくないな…と。撮影でお世話になった農家さんのご厚意で続けさせていただきました」。
なんとそれから15年!「仕事も忙しい中で始めた農業。最初はいつやめても仕方ないかな? くらいの軽い気持ちでしたが、次の季節の畑支度を繰り返すうちにやめるタイミングを逃したというか、やめる必要性を全く感じませんでした。畑作業はスクワット運動、太陽を浴びて活動していたら、夜もぐっすり眠れ、美味しくて栄養満点の野菜を食べ続けていたら、病気知らずの元気な体になれて! 良いことずくめなんです(笑)」。
気持ちが切り替わるスイッチにもなっているそう。「モヤモヤしてることも吹き飛ぶんですよね。四季を感じられて今を生きてるって強く実感します」。
農業にとどまらず、新たな学びを得られているそうですね?「40代で豆腐マイスターになり、その活動の中で新たな出会いがあり薬膳の勉強を始めました。すごく難しいのですが、野菜の底力が理解できると愛着を一層感じるようになります」。
加藤さんのバイタリティにも驚きです。「年齢の節目に、自分の目標を定めているかもしれません。今は素敵な60代を迎える準備だと、ワクワクしています」。
加藤さんが最近幸せを感じた瞬間があるそう。「長野でお米作り、今年13年目の山形でのお味噌造りまで始めた中で、ある時食卓の上が全て自分の作ったものになって、達成感がありました。小泉今日子さんのイベントで、お野菜を販売させていただいたことにも感動しました。購入者の方から喜びの声を直接いただいて、今まで味わったことのない思いが込み上げたんです」。
ポジティブで活動的な加藤さんは、野菜をきっかけに全国の農家さんたちとお友達にも。「野菜の作り方からお料理まで。農業って人との垣根をなくす力があるんです。みなさん温かくて優しい。でも地方の現状を目の当たりにすると、不安も感じます。農家さんの高齢化、予想しえない気候変動…。私も昨年の夏はあまりの暑さに参ってしまいました。ゲリラ豪雨に涙が出そうになることもあります。消費者の方から『野菜が高い』と声が上がりますが、本当にいろんな事情があって…仕方ないんだよ〜て叫びたくなります」。
加藤さんが今伝えたいことは?「ちょっとでも楽しそうだなと思ってもらえるなら、休耕地は沢山ありますし、少しの規模でも、自宅のベランダでも、野菜作りを始めていただきたいです! 私ができたんですから大丈夫(笑)。きっとそれが日本の農業を変えるきっかけにもなると思うんです」
撮影/吉澤健太 取材/竹永久美子 ※情報は2026年4月号掲載時のものです。




























