子どもの成長とともに、ふと親の老いが気になり始める読者も少なくないはず。自身の実家じまいと数多くの家庭の取材を重ねた大井さんに、これから始める人への「基本のキ」を聞きました。
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「亡くなったら」の話じゃない。相続は親が元気なうちにする話
実家の片づけを手伝ったり、多くのご家庭を取材してきて実感するのは、相続問題は「まだ先」と思っているうちに、もうすぐそこまで来ているということ。子育てが落ち着いた頃、親はもう70~80代。元気に見えても、体調や判断力は少しずつ変化していきます。それなのに、多くの人は「うちはまだ大丈夫」と、話すきっかけを先延ばしにしてしまう。私自身、実家じまいを通じて、親の財産や保険など早めに把握できたことは大きな安心につながりました。一方で取材では、「もっと早く聞いておけば良かった」という声も多く耳にします。
切り出し方ひとつで親の反応は変わります
とはいえ、いきなり「財産」や「相続」の話をされて、身構えてしまう親も少なくありません。「死んだ後の話をするなんて」と、反発されることもあるでしょう。だからこそ、まずはお金の話ではなく、親のこれまでの人生や思い出話から始めてみてください。その流れで将来どうしたいかを聞いてみるとよいでしょう。大切なのは、子どもがどうしたいかではなく、親自身がどうしたいか。どこで暮らしたいか、もし介護が必要になったらどんな希望があるのか、その意向をうっすらとでも聞いておくことが大切。帰省のたびに全部聞いてしまおうとせず、「今日はこれだけ」と一つに絞るのもコツ。きょうだいがいるなら、LINEグループなどで日常的に親の様子を共有しておくと、いざという時の温度差が減ります。ゆくゆく介護が始まったときに、きょうだいの誰かひとりに負担が偏らないよう、早いうちから親の様子や、それぞれができることを共有しておくことも大切です。また、相続が始まったときは、それぞれの家庭の事情や配偶者の意見が入ることで話が複雑になることもあるため、まずは相続人であるきょうだい同士で話し合える関係をつくっておくと安心です。「相続」とひとことで言っても大きく漠然としています。まずは「親・きょうだいとのコミュニケーション」を大事にしながら、「財産の手がかりの把握」「実家の行く末」などを少しずつ話しておくとよいでしょう。必要に応じて、遺言書の作成などを専門家に相談してみてもいいかもしれません。また、相続とは別に、「お墓のこと」も家族で考えておきたいテーマのひとつだと思います。
親の“元気度”チェックリスト
・冷蔵庫に賞味期限切れの食材がないか
・約束を忘れがちではないか
・怪しい訪問販売などに応じていないか
・以前より思い込みが強くなっていないか
上の項目に1つでも当てはまったら、黄色信号かもしれません。“老い”は親本人より先に、周囲が気づくもの。責めるように聞くのではなく、さりげなく声をかけることから始めてみて。歩く様子が以前と違う、なども気になるサインとして見過ごさないで。
教えてくれたのは

撮影/吉澤健太 イラスト/Ai Iuchi 取材・文/羽生田由香 デザイン/秋穂佳野 構成/中村 亮
※情報は2026年9月号掲載時のものです。

















