4人のお子さんを育てながら、音楽活動のペースも落とさないシンガーソングライターのhitomiさん。PMSや多岐にわたる更年期症状と向き合いながら自分らしく生きる術を探し続ける彼女から、更年期のヒントをいただきました。
あらゆる更年期症状を経験
今年の1月に50歳になりましたが、40代半ばくらいから、めまい(*1)、イライラや疲労感、肩こりや腰痛、不眠、中途覚醒など、ありとあらゆる更年期症状が出始めました。もともと、PMSを自覚しているタイプで、生理の数日前は感情のコントロールがきかなくなって、イライラしたりすることがよくあったのですが、それが更年期になってほかの症状まで広がった感じです。
いちばんつらいのはメンタル不調。それとシンプルに元気が出ない(笑)。また睡眠が浅いのも体力を削ってきます。末っ子が5歳ということもあって、横で寝ていると夜中もちょっとしたことで目が覚めてしまったり、明け方目が覚めてしまってそのあと眠れないこともよくあります。翌日、大事な歌の仕事が入っていると、耳栓をして眠ることも。そうしないと朝までたどり着けません。
漢方は強い味方
— 1994年のCDデビューから30年以上、音楽シーンの最前線で活躍しているhitomiさんは高校3年生の長女、小学校高学年の長男と次男、5歳の三男の4人のお子さんを育てるママでもあります。そんなhitomiさんはイライラが育児によるものなのか更年期の症状なのか、区別がつかないときもあるのだそう。
年齢的に、閉経に向かっていっているのでしょうがないとは思いつつ、いろんな症状が少しずつあらわれるフルコースにはなかなか苦戦しています。対処法としては、婦人科で各種漢方薬を処方してもらうこと。更年期によく処方される加味逍遙散は、イライラや不眠、のぼせを改善。血行不良や水分の滞りに効くとされる当帰芍薬散、補中益気湯は疲労感や倦怠感、半夏厚朴湯はのどのつかえ、気分のふさぎ、柴胡桂枝乾姜湯は不眠などに効果があるとされているそう。出産した産婦人科や、人間ドックを受けている病院の婦人科などで処方していただき、服用しています。
食事や家族とのシェア…リフレッシュを沢山持つこと
やる気レスを引き起こす疲労感は、TO DO リストを書くことで解消するようにしています。やるべきことを1個ずつ紙に書き出して、終わったら消すという作業で達成感を可視化するんです。例えば毎日必ず行く犬の散歩も紙に書き出しますし、どこかへ電話をかけるという小さな用事も書いちゃう。家の中で汚れが気になっているところの掃除でもいい。書くことで目標を達成した実感を味わえるので、他の物事にとりかかるモチベーションも引き出せます。
自分に心地よいプレッシャーを与えつつ、終わったら清々しい気分になれるので罪悪感を覚えずにすみます。ジムなんかも、行くまでが面倒で面倒で(笑)、行きたくないんだけれど、行った後はスッキリするので、そういう小さな成功体験を積み重ねて自分の〝やる気〟をキープする努力はちょっとしています。
寝る前にはヨガマットを敷いて、首や背面、肩甲骨をほぐしたり、毎朝6時25分のテレビ体操も欠かしません。そうやって、自分のモチベーションが上がる方法をいくつか見つけておくことが、更年期とうまく付き合うコツだと思います。
3週間に一度、ヘアメンテナンスに行くこともいい気分転換、かつやる気モードのスイッチになってくれます。南青山にある「ROBBY 青山」でお世話になっている代表の久保友洋さんに、的確なアドバイスをいただいたり、他愛もないことを雑談しているとリフレッシュできます。久保さんは気さくで大らかな方。サロン自体がLAのような、リラックスできる空気感なのも、気分が和みます。
LAのような空気感といえば、青山にある「リトルダーリンコーヒーロースターズ」もお気に入りの場所。天井が高く、広々として開放的な空間は、LAにワープしたみたいな、心地よい風を感じられる、のんびりできる場所。目の前に広い芝生が広がっているカフェにいると、物事を難しく考えることを手放して、気持ちがゆるんでいくような、いい脱力感を覚えます。
人生後半を受け止めつつスイッチの切り替えを
それでも、忙しい日常の中には小さなストレスの種がいっぱい転がっています。私はPMSがひどくなりそうな時期は、あらかじめ家族とシェアしてアナウンスはしておくのですが、それでもおさまらない時、イライラしてどうしようもない時は、家族に当たり散らす前に(笑)、パッと着替えて犬の散歩に行っちゃいます。
また、今って情報があふれている社会なので、いろんなものを受け入れていたらパンクしてしまう。自分なりに情報の取捨選択をするフィルターは持っておくようにしています。その取捨選択のアンテナ感度は自分でも高く鋭いほうかなと思っています。
どんな人でも必ず年を取り、更年期を通り過ぎます。人生100年時代と考えると、若さは長くは続きません。年齢を重ねることを受け入れ、自分より先輩の方々の生き方の中にお手本にしたい人を見つけることも、更年期以降は必要なんじゃないでしょうか。
私の場合は幸運にも一田憲子さんの『人生後半、上手にくだる』という本に出合えました。40〜50代は高齢者ではないけど、もう若くもない。人生後半のくだり坂にいることを受け止めつつ、年を重ねるからこそ見つけられる新しい発見や学び、成長があることを教えてくれる一田さんの言葉には、勇気をもらえます。
ストレスフリーが特効薬と知りました
— 年齢を重ねてもキュートでチャーミングなhitomiさんが、若さの信者ではなく、むしろ年齢を重ねることに正面から向き合い、受け入れ、淡々と対処しているのは意外。その成熟した精神が、さらに彼女を魅力的に見せているような気がしてなりません。
更年期症状に関して、いろいろと工夫している私ですが、実は昨年子宮頸がんの一歩手前の「子宮頸部異形成」が見つかり、手術直前まで行きました。「高度異形成」は子宮頸がんのリスクが非常に高いレベル。人間ドックで再検査となって、専門的なところで詳しく調べたら手術が必要だということになり、日にちまで決めたんです。子ども達も「ママ、大丈夫?」と不安そうな顔になったりして、最悪の場合、もう歌を歌うことができなくなるかもしれないというところまで覚悟しました。
でも、自分なりに診断結果にちょっとした違和感があり、改めて人間ドックをした病院で再検査をお願いしたら、いつの間にかその「高度異形成」が縮小して軽度になっていて、手術しなくてもよくなったんです。かなり稀な症例らしいのですが、その経験から、病気というものは本当に、ストレスが作り出すものなんだなと痛感しました。
元々完璧主義なところもある私は、そのころ体の中になんとも言い難い〝怒り〟が充満していてストレスマックスな状態でした。なんでこうしてくれないんだろう、というような他者への怒りでイライラが極限になっていたんです。病気が発覚したことで自分を振りかえり、自分の首を絞めている怒りを手放そうと考えるようにしたら、いつの間にか「前がん病変」が改善していました。そんな経験から、自分を苦しめるストレスを自ら生み出すことはやめようと思いました。
まだまだ更年期の真っ只中だし、50代以降はできないことも増えてくるし、マイルールが確立した年代だからこそ他者への怒りも生まれがちだけれど、イライラしていいことは心身ともにゼロ。Take It Easyの精神で50代、60代、70代を楽しんでいけたらいいな、今はそう感じています。
ジャケット¥53,900(favi mercato/allvi inc.)トップス¥79,200 スカート¥94,600(ともにŌME/村田染工株式会社)ピアス¥59,400 ネックレス¥127,600(ともにMARLENA/株式会社 WSP-R)バッグ¥60,000(BLOSSOM)リングは本人私物
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/松田美穂 スタイリスト/讃井理絵子 取材・文/柏崎恵理 撮影協力/ROBBY 青山 ※情報は2026年9月号掲載時のものです。

















